2004/10/30

バーの話

昔からマティーニが大好きだった。それは多分にジェームスボンドの影響が強かったと思う。彼が愛飲するマティーニはウォッカベースでヴェルモットは1・2滴とか、これだけでもボンドの性格が想像できるから小説では重要な小道具だろう。

僕の場合はクラシックマティーニ専門、ジンはタンカレー、ヴェルモットはマルティーニが好み。
勿論自分でも造れるけど、やはりバーに行って飲む方が美味しい。それにバーでは違う楽しみもある。(タンカレージン専門の本がある。面白い本だったけど、友人にあげてしまった。再度購入しようとしたら、既に廃刊・・・・「タンカレー・マティーニA to Z」)

それは、バーテンへのオーダー注文だ。例えば、カウンターに座り、おきまりのマティーニを注文した後に、バーテンダーに話しかける。
「今日は会社で嬉しいことがあったので、色はスカイブルー、ほんのり甘く、飲んだときにすっきりして後口が残らない、その上でフィズ系のを作って」
そう言うと、プロであれば大抵のバーテンダーはイメージ通りに作ってくれる。差し出されたカクテルを見て、彼(彼女)の講釈を聞き、実際に飲んで味の感想を述べる。このやりとりがとても面白い。

実際、バーは僕にとってお酒の遊園地みたいなものだ。ただ一緒に行く人数は、バーテンダーとのやりとりもあるので、大勢よりは一人か二人が望ましいと思っている。

壁に並べられた、ラベルの美しい多くの酒瓶を眺めるのも楽しい。こんなお酒もあったのかと思うこともしばしばある。一杯のカクテルで、長時間楽しめることが出来るので、トータルでは結構安い遊び場だと思う。

勿論、頻繁には行かない。僕はお酒は殆ど飲まないので、バーに行くのは年に3?4回くらいだと思う。よく行く店は渋谷の「門」という老舗だ。「門」 は1つのビルに3店舗入っている。元々は一人のオーナーだったけど、3人の息子さんが引き継いで別々の独立した店になったと聞いた。

僕が行く「門」は地下の「八月の鯨」か3階の「門」のどちらかだ。「八月の鯨」のカクテルは全て映画の題名になっている。勿論客からのオーダーも受け付けている。その場合も映画の題名を言えば、バーテンダーがそのイメージにあったカクテルを作ってくれる。それも又面白い。

3階の「門」は落ち着いた感じが気に入っている。さすがに老舗だけあって、バーテンダーの技術も意識も高いので、十分に遊べる。バーテンダーは一種の職人の感じがして、僕は人には「すし職人」を例えて説明する。そのくらい奥が深いと言いたいのだ。

「門」以外のバーにも立ち寄ることも時にはあるけど、マティーニの味で今後も通うか決める。マティーニは単純なレシピだからこそ、バーテンダーに よって味が大きく変わるカクテルだからだ。技術的には日本のバーテンダーは高いと思っているので、よほどの場所に行かない限り、はずれることはないとは思 うけど、技術的なことで気にする事もいくつかある。

まず、氷を音を出さずにステアすることが必須条件となる。オリーブの種類も重要だ。レモンピールの香り付けの仕方も大事だし、なによりもクラシックタイプとの注文がそのまま通じなければ話にはならない。

名前だけは昔から知っていて、行きたいと思いながら行けずにいるバーがある。「リトルスミス」「バー東京」というバーだ。知っている人も多いと思 う。店長の保志さんは、国際カクテルコンクールで優勝した経験を持つ。保志さんの事だから、きっと素敵な空間を作ってくれるとは思うけど、銀座の高級バー の一角にあるので、怖くて近寄れないのが本音。ちなみに、銀座には保志さん以外にも、日本バーテンダー重鎮の毛利さん(この人のカクテルの本は面白かっ た)、バーテンダー日本一の大槻さん、などの有名なバーテンダーが多く集まっている。彼らのオリジナルカクテルは写真でしか見たことがないけど、とても綺 麗だった。

0 件のコメント: