2004/12/23

ビジネスからみた匿名性について

2ちゃんねる掲示板に書き込まれた匿名の中傷投稿に対し、名古屋地裁がプロバイダーに匿名者の住所氏名などの開示命令判決を行った。
少し前には、鳥取大学生が2ちゃんねる掲示板で、ウサマ・ ビンラーディン氏の名をかたり、東京タワー等の爆破予告を行った為、警察に逮捕された事件もあった。
「匿名」であれば自分の正体がわからないと本気で思っている人がいまだにいる事が不思議だ。既にネットでの「匿名」神話は崩れて久しいと思っているからだ。
「匿名」と「匿名の臆病者」の内容については「ウィキペディア(Wikipedia)」に載っている。

例えば、本ブログでは僕は「amehare」と名乗っている。この「amehare」は僕にとっては「著者名」みたいなものだ(「FORF」には実名も書いている)。
それにLOVELOGでは「amehare」と僕の個人情報(DION)がリンクしている。

仮に、僕がサイトであらぬ「誹謗中傷」を行い、被害を受けた方が「amehare」に対し名誉毀損による損害賠償を求めた時、裁判所は僕の発言が「名誉毀損」に当たるかの検討を行う。公益性と真実性の立証が出来れば名誉毀損には当たらない事になるが、その立証責任があるのは、この場合「amehare」である僕と言うことになる。ただ、幼稚な「誹謗中傷」の場合、立証するまでもない事が多い。

訴えた人は、損害賠償を求める裁判を起こすために「amehare」の個人情報(氏名・住所)が必要なので、裁判所はDIONに対し「amehare」の開示命令を出す事になる。
プロバイダーは裁判所の令状があれば、個人情報の開示は行わなくてはならない。
そしてめでたく(笑)、「amehare」である僕は被害者に謝罪と損害賠償を払うことになる。

ネットに接続する場合、IPアドレスが必要となる、このIPアドレスはユニークなので、IPアドレスをたどれば、いずれはプロバイダーに繋がる事になる。
たどるには、IPアドレスのログ情報がサーバ上に記録している事で可能となる。つまり完全な匿名を保証する事とは、そのログ情報を保持していない、と言うことになる。
LOVELOGの様な登録が前提のサービスでは完全な匿名はあり得ない。それは「goo」「Yahoo」「msn」等の無料でメール等のサービスを提供している企業、オンラインゲームなどを運営している企業も同様で、登録したidからIPアドレスをたどる事は容易である。

さらに、ビジネスの観点から見ると、ログ情報を持たずにサービスを提供する企業はあり得ないと僕は思っている。
名誉毀損で言えば、上記の例のように、真実性と公益性の立証責任は誰にあるかと言えば、当然に「amehare」である僕がその責任を負っている事になる。
仮に完全な匿名性を保証しているサービスがあったとする(昔の2ちゃんねるの様な)、その場合、その掲示板を運営している側に公益性と真実性の立証責任が担うことになり、運営している企業にとってはリスクが高い事になる。そしてそのようなリスクを担う企業があるとは僕には思えないからだ。

それに匿名の話ではないが、プロバイダー同士の連携も利用者の想像以上にあるのは間違いない。プロバイダーは1つのネットを構成している。そしてそのネットの相互連携がインターネットとなる。スパムメールなどの対応などの場合は、国を超えての連携も時には行われている事だと思う。つい数年前にAOLがDIONからのアクセス(メールを含めて)を止めたのは記憶に新しい。

またプロクシーを幾重にも使う事で「本人」にたどり着けないと考えている方もいるかもしれないが、絶対にたどり着けると考えた方が間違いない。行うか行わないかの判断は、行うためのコストと結果得られる公益性のバランスで判断している、と考えた方がよい。ハッカー対策の歴史から、蓄積した「たどる」技術は現在では相当に高い。

ネット上には様々な企業がサービスを提供しているが、企業であれば、そこに何らかの利益を求めているのは間違いない。またその為には出来るだけリスクは避ける為の準備を行っているはずである。それらは「約款」「定款」「規約」等で利用者にサービスを受ける前にあらかじめ提示している。ゆめゆめ自分が「匿名」だとは思わぬ方がよい。勿論、「匿名」以前に、やって良い事と悪い事の区別を持つのが当たり前だのだが・・・

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