2004/12/27

青森市と浪岡町の合併問題に見る不思議

「民意は「合併反対」 浪岡町長のリコール成立、出直し町長選へ
青森市との合併を進めた加藤新吉町長に対するリコール(解職請求)の賛否を問う浪岡町の住民投票が26日あった。即日開票の結果、解職賛成が反対を上回りリコールが成立。加藤町長の失職が決まった。50日以内に出直し町長選が実施される。(中略)投票率は66・24%、当日有権者数は1万7105人だった。」(毎日新聞)

浪岡町は青森市に隣接する人口約2万人の町だ。当然に青森市と比較すれば小さな町と言える。その町が青森市の合併問題で大きく揺れている。青森市と浪岡町の両議会では既に合併は可決済みで、県議会でも可決されているので、今回青森市と合併推進役でもあった町長がリコールされたとしても、合併を止める手順は少ないらしい。

毎日新聞での記事では民意が(青森市との)合併反対、議会が合併賛成の「ねじれ現象」となっているとあるが、本当にそうなのだろうか。
浪岡町が合併に動くきっかけとなったアンケート「市町村合併に関する住民意向調査結果 」を基に僕なりに分析してみた。

以下にアンケートを見たときの疑問点を記す
1)回収率が97.4%が異常なほど高い。データー収集方法は何を使ったのだろうか。
2)今回のアンケート作成者は誰だろう。客観的な立場の第三者に委託してのアンケートだろうか。
3)問4の合併賛成を問わずに合併先を聞く事の意味はどこにあるのだろう。
4)合併の選択肢に「弘前市」がない。また「津軽14市町村」と曖昧。

1)2)について、この回収率が示す高さはアンケート担当者が一軒毎に訪問し、インタビュー形式で行ったのではと推測する。もしくは地域ぐるみで強力に回収を行ったとも考えられるが、いずれにせよインタビューする側、強力に回収を行う者の意見がそこに反映されている可能性があるのでないだろうか(いわゆるインタビュー効果)

3)について、合併反対者は合併先に関係なく反対なのであって、合併先の選択肢に真面目に答えているとは到底思えない。アンケート分析者が「反対していても、青森であれば致し方ないと思うのではないか」等と考えているとしたら、それは大きな間違いであるし、データがその様にバイアス(偏向)され使われる傾向になってしまう恐れがある。
また、合併賛成者にとっての選択肢は強い意味を持つ。例えば合併賛成だが「青森市」との合併は反対の考えがある場合。当然に選択肢として「青森市」は選ばない。
仮にデータから「青森市との合併に賛成か」に具体的に最初から示せば、結果は賛成:5852名、反対:10671名になり反対の結果となる。

4)について、「弘前市」は浪岡町にとり、青森市に次ぐ関係の深さを持っている。その弘前市を選択肢の中に含めなかったのは何故だろう。意図的に「弘前市」を排除したように見える。

以上の結果から見えてくるのは、本アンケートは当初から「青森市」との合併前提で行われたと考えてしまう。そこに本アンケート作成者のバイアスの存在は否定できない様に思える。

浪岡町長リコールに結びつくのは当然の結果だと思う。またバイアスされての結果であれば、このアンケート結果を信用することが出来なくなる。
また、リコール結果から逆に判断することは危険な事だが、僕の個人的感想を言えば、浪岡町民の民意は「合併は賛成だが、青森市との合併反対」にあると思えて仕方がない。

簡単に青森市と浪岡町の合併について、アンケートを中心に見てきた。個人的なことで申し訳ないが、僕の父親が浪岡町出身なので気になってしまった。勿論父の実家は今でも浪岡町で生活している。

追記:市町の合併問題を実は、企業の合併に即して、シナジー効果の出し方について書くつもりでいたのだが、アンケート内容を見つけたのでアンケートのバイアス調査の内容になってしまった。これも個人的な意見ではあるが、行政側が行うアンケートは、殆どそこにバイアスがあると考えた方がよいと思う。問題は何故そのバイアスを行う必要があるのかを知ることだと思う。

0 件のコメント: