2004/12/28

人体実験は最高で最悪のアイデア

映画「スーパーサイズ・ミー」が12月25日から公開している。この映画は前評判が高かく、内容を含めて事前に知ってはいたが、既に始まっているとは思いもしなかった。
内容はモーガン・スパーロック監督自身が1ヶ月の間ビックマックとコーラだけで過ごし、その結果様々な体調変化をおこした事を記録した映画だ。撮影開始してからスパーロック監督は苦痛で早く撮影が終わればいいと願い続けたそうだ。まさしく彼の云うところの「人体実験は最高で最悪のアイデア」だったというわけなのだろう。

しかし日本のテレビでは、大きく紹介されていないらしい。以下は「アエラ」(’05.1.3?10)からの引用。

「スパーロック監督が10月に来日した際も新聞、雑誌の取材が殺到した中、テレビ局はCSテレビ局が2社訪れただけだった。しかもそのうち1社はNHK系列。映画にやり玉にあがるマクドナルドや、コーラのメーカーはいずれもテレビCMを数多く打っているスポンサー。そのため民放テレビでは、この映画を取り上げづらいらしいのだ。あるワイドショーの芸能担当ディレクターによると、試写をみて気に入り、最初は5?6分かけて紹介する企画を考えた。だが同じ局の他の番組でストップがかかったと聞いて断念。1分弱の簡単な紹介コーナーで取り上げようとしたが、今度はプロデューサーからストップがかかったという。」

「スーパーサイズ・ミー」は欧米ではかなりのヒットをしているらしい。勿論この映画は、「スローライフ」推進でもマクドナルドが象徴している「アメリカングローバリズム」批判を行っている訳ではない。

米国で話題になった通称「チーズバーガー法」へのメッセージと受け取って良いのかもしれない。二人のティーンエイジャーが自分たちの肥満はマクドナルドの責任だと訴訟を起こし、結果的に敗訴になったが、その後ホワイトハウスと食料品業界が協力して、「肥満は自己責任なのでファーストフード業界を訴えてはいけない」という法律が出来た。その法律を通称「チーズバーガー法」と云うらしい。ただ、訴訟の話でなく、マクドナルド等のファーストフードは日本でも日常の食品となっているので、映画の内容は僕らにとっても身近な話だとは思う。

しかし、あれほど「華氏911」の時は大きくテレビ局でも取り上げたというのに、グローバル企業にはメディアも弱いのだとあらためて思った。
テレビ局も企業だからスポンサーは大事だとは思うし、この映画を取り上げる事が(スポンサーを無くしてもよいほどの)公益性を持ってはいないと、判断した結果とは思うが、どこかの局で1つくらいは大きく取り上げて欲しかった。

最後にスパーロック監督の言葉を、同じく「アエラ」から引用する。

「この作品のプロモーションのために世界各国を回ったけど、どの国でも僕とこの作品を取り上げないメディアがある。表現の自由というのは、スポンサーが許す範囲内での自由なんだろうね」

名言だと思ったのは僕だけではないだろう。個人的には「華氏911」よりはよっぽど「ドキュメント」だと思ってはいる。

その他関連サイトとして「スーパーサイズ ブログ」が面白い。なんと日本のファーストフードとである寿司を1日3食で1ヶ月過ごすという企画のブログ。既に企画は終了済み。寿司だったら挑戦しても良いと思ったのは僕だけでは無いはず。

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