2005/01/13

iPod Shuffleは売れるか?

200501137d401bc8.JPG今年のMacworldで「iPod shuffle」が新たに発表された。(アップルサイトでの紹介はここ

「Apple Computerは米国時間11日、大方の予想通り、高い人気を誇る同社の携帯音楽プレイヤー、iPodの新バージョンを発表した。iPod shuffleという名前のこの新製品には2つのモデルがあり、99ドルのモデルには約120曲の楽曲を、また149ドルのモデルには240曲をそれぞれ保存できる。 」(CNET.com

ジョブズはかつて「容量が小さく比較的低価格のMP3プレイヤーを、贈り物として買われることはあっても実際にはほとんど利用されない製品だ」と言っていた。そのジョブズが容量が小さく比較的低価格のフラッシュメモリー型iPodを売り出した理由は何だろうか。

CNETでは、それを従来路線の変更(低価格路線)だと言っている。確かに一緒に発表された「Mac mini」を見ると、今回のMacworldで受ける印象はその通りだと思うが、僕は単に以前と状況が変わっただけという気がする。どんな状況と言えば、それはハードディスクタイプの携帯音楽プレイヤー市場で圧倒的な強みを見せるiPodの存在と、「iTune Music Store」の成功、およびフラッシュメモリーの容量増加と価格の下落と言うことになる。

特に「iTune Music Store」は一曲単位での販売をコンセプトにしている。その結果特定のCDの中から自分の好みに合う曲だけを購入するユーザーも多いことだろう。まさしく、そういう音楽の利用方法の変化が、この製品誕生の背景にあるように思える。

新製品にありがちな話だが、本製品にも賛否両論がある。賛成派であるアナリストは以下のように言っている。
「shuffleの位置づけは適切だと思う。これがiPodのシェアを奪う可能性はかなり低く、Appleは他社のフラッシュメモリ・プレイヤーに積極的に挑めるようになる。またこの製品で、同社は米国よりも消費者が価格に敏感な海外市場にもうまく対応できるだろう」(CNET.com)
そして反対派は、画面の省略を価格を押さえるために行ったと思うが、それが失敗だったと述べている。特に競合他社でもあるRioマーケティング担当者は以下のように言っている。
「この業界では(ユーザーインタフェースを)省いた機種が以前にも登場したことがあったが、顧客の反応は芳しくなかった。画面が付いていれば、それを見て『再生中の曲は何だろう』とか『次の曲は何だろう』と確認できる。またナビゲーションは視覚的にも重要だ」(CNET.com)
確かに画面がないことを指摘する声は大きいようである。当初のフラッシュメモリー型機種が徐々に画面を装備する様になった経緯も理解できる。ただ、それでも僕は「iPod shuffle」は成功すると思っている。僕の考えを以下に述べる。

1.Appleは「製品」でなく「状況」を売っているのだ。従来のフラッシュメモリータイプのカタログは主に仕様面が強調されすぎている。仕様面を強調すれば、結果的にハードディスクタイプに容量面で差が付きすぎてしまう。それがフラッシュメモリータイプが売れなかった理由の1つではないだろうか。Appleのサイトを見ればわかるが、本製品に対して、どの様な状況で利用すれば良いかが明示されている。そしてその状況下では本製品の形が(画面がないことも含めて)最適であると思われる。

2.画面をつける事は、筐体を大きくし価格も上がると言うことになる。それは本製品が使われる状況下ではマイナス面が大きすぎる。特に価格が上がることは、iPod miniとの競合も出てくる可能性が高い。競合となった場合は、使われる状況に対する説得力が乏しくなる。

3.本製品はiPodを持っている顧客が購入する事を期待している。「iPod shuffle」がセカンドとして考えると、さらに「状況」が見えてくる。既に利用者は「iTune Music Store」を利用し、曲単位での購入の考え方に慣れている。特に容量の問題から本製品に納める曲は厳選した好みの曲に限定されることになるだろう。つまり利用者は購入した好きな曲だけを入れることになるので、次が何かを気にする必要は特にないと思う。この製品は別途「ドック」の提供もあることから、「状況」にあわせて、頻繁に曲の入れ替えを行う製品でもあるのだと思う。

つまりは母艦としてパソコンと同じ規模の曲が持てる「iPod」があり、戦闘機として「iPod shuffle」があるという位置づけになると思う。今回Appleはその戦闘機の提案をしているのだと思うのだ。

それを踏まえて「iPod shuffle」は売れるだろうか?僕の意見は売れると思う。iPodのブランド力も加わり、少なくともフラッシュメモリータイプ市場ではシェアはかなり取れると考えている。

ただし、日本では難しいかもしれない。理由は米国ほど曲のネット販売が育っていないことが上げられる。でも今年に始まると言われている「iTune Music Store」の成功次第では、勿論成功する可能性は十分にあると思っている。

未だにiPodの買い換えで悩んでいる僕は、買い換えを止めて本製品を購入すると思う。最近運動不足の僕としては、今年はジムに再び通うつもりでいる。そしてこの製品はジムで運動しながら音楽を聞く状況にとても合っている。

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