2005/02/28

トヨタ ビックエア

テレビ朝日系列で28日0時25分から放送していた「トヨタ ビックエアー」を観てしまった。実はあらかじめ見ようと思って観たわけではない。少し遅かったけど風呂に入ってから寝ようと思ったのだ。少しお湯を熱くしようと火を入れて、待ち時間にテレビをつけていたら放送していた。

実際に開催したのは2月19日だったらしい。場所は北海道札幌 真駒内オープンスタジアム、競技種目はストレートジャンプといって、スキーのジャンプ台を小さくした感じの競技場を使い、スノーボードで滑走し、ジャンプして空中で様々な姿(技)を見せる。点数はその技を点数化して勝負を決める。つまり、難易度の高い技をきれいに決めれば点数が高くなるということだ。

これが面白かった。僕はスノーボードは一切やったことがない。面白そうだなぁとは思うが、やる機会も、自分からやろうとする意思もない。そんな僕でも面白いと思った。海外からと日本から参加者16名で繰り広げる戦いは、一言で言えばエンターティメントそのものだった。

一人一人の演技はそれぞれに個性があった。でもスノボーの世界に疎い僕は選手名を覚えられない。それでなくても人の名前を覚えるのは苦手だし、それが外国の人であればなおさらだ。その中でも、イエロー・エッテラというの欧州の若者のことが特に印象深く、名前も含め覚えている。金髪、あどけなさが残る顔立ちは十分に少年の顔だ。

16人でまず予選みたいな事をする。そして上位8人が決勝ラウンドに進む。エッテラは決勝ラウンドに進んだときは、大体真ん中くらいの順位だった。決勝ラウンドはトーナメント方式で、二人ずつ戦い点数が高いほうが勝ち進む。エッテラは最初の決勝トーナメントで、大会で誰も演技した事のない技を見せる。それはまっすぐにスピードをあげて滑走し、ジャンプ台で後方に二回転して着地するという荒業だった。でもかれは失敗する。点数は悲惨な点数だ。

エッテラと戦う若者はオーストラリアの人だったと思う。同じく金髪で、やんちゃ坊主の雰囲気の男の子。彼はエッテラの大技を背後で見ていて、しかもそれを失敗しているのも知っている。安全に演技すれば勝つのはわかっていたと思う。でも彼もエッテラほどではないが、荒業を披露する。それは高くそして回転を加えた技だった。そして彼も失敗する。続けて二回目もエッテラは同じ大技に挑む。しかいここでも彼は失敗する。相手方のやんちゃ坊主風のオーストラリア人は、本当に今度こそ安全に演技すれば勝つことができる。でも彼も大技を試みて、そして失敗する。エッテラが勝ち、次の試合に進む。

オーストラリアのやんちゃ坊主は、多分エッテラの技をみて、また多くの観客達がエッテラの技に歓声を上げている声を聞いて、安全策に行くなんて気持ちは一切なかった様に思う。彼らにとって大事だったのは、勝つことではなく、自分の最高の技を観客に見せ喜んでもらう事だったと思う。そうしてそれをする事が自分も楽しむ事に繋がっていく。みていてそんな気がした。

エッテラは準決勝に進む。相手は今まで最高点を獲得したフランスの男の子。フランススノーボード界の至宝といわれて、確かな技を格好良く演技することができる。エッテラはそこでも一回目は大技を試みる。そして失敗。次にフランスの男の子は、難易度の高い技を確実に美しく決め、なんと今までにない最高点をたたき出す。あとがなくなるエッテラ。

二回目。最初に飛ぶフランスの至宝。またもや高得点。その演技に声援を送る観客。そしてエッテラの番がくる。観客達もエッテラが再度大技に挑戦するのがわかっている。そして期待している。その期待にこたえるかのように、エッテラが滑り出す。一瞬の静寂。
3回目で彼は見事に成功する。それからの観客達の叫び。本人も飛び上がって喜びを表現する。得点は今までにない最高得点。

優勝決定戦も素晴らしい試合だった。でも大技を成功させたエッテラはそこでも技を決める。そして優勝。面白かった。最後まで見てしまった。楽しむ事ってこう言う事なんだと、教えてくれたような気がした。楽しむ事の前に勝ち負けは、なんか矮小な感じも受けた。そして、彼らはお金まで払って見に来てくれた観客のことも忘れていなかった。良い演技、最高の演技を追及していた。一所懸命だった。それがTVを通じてみている僕にも伝わった。

スノーボードの事を何も知らない僕の文章で、どこまでこの楽しさが伝わるかわからない。多分、こういう男の子達が残る限り、スノーボードは廃る事はないのだとおもう。そんな気もした。

0 件のコメント: