2005/04/01

携帯電話をデザインとしてみたときの「折りたたみ式」と「直立型」について

いまさらいうまでもないことだが、携帯デザインは「折りたたみ式」と「直立型」の二つに大別される。以前に「折りたたみ式派」と「直立型派」の二者に分かれてどちらが使い勝手がいいか議論があったのを記憶している。勿論、この議論は「個人の好みの問題」に収束される話ではあるが、それぞれの言い分を読むのも面白かった。
その中で出た話で、「折りたたみ式」は女性に人気があり、「直立型」は男性に受け入れられている、というのがあった。どのようにして調べたのかは不明だが、ある限定された時間の中で、この説は結構広まったのではないだろうか。

無論、「折りたたみ式」が女性的、「直立型」が男性的、とする区分の背景には、形状からみた象徴的な意味合いが入っているのは間違いないと思う。そういえば以前に見た米国刑事ものドラマで、主人公が直立型で伸縮するタイプの携帯電話を使っていた。ドラマの持つ雰囲気と、主人公の男性刑事のイメージとしての男っぽさに、伸縮するギミックをもつ携帯が妙に合っていて、いまでも印象に残っている。
このドラマでは意識して小道具を選択していることがうかがい知れるが、その背景にあるのは、やはり同じ象徴性かもしれない。

現在では、どちらがいいかの話が成り立たないほど、携帯デザインは殆どが「折りたたみ式」となっている。直立型はその存在が忘れられたわけではないが、量から見た勢力としては圧倒的に少数になってしまった。
最近のデザインの中では、数字キー部分が伸縮するタイプ(それこそ以前みたあの刑事ドラマで使っていたタイプ)が出始めたが、これは「直立型」デザインの亜流といってもよいかもしれない。「直立型」は完全に消えたわけではなく、こうやって姿を変えて生き延びていくのだろう。

ただ、直立型の亜流と思われる伸縮するデザインには、従来の「直立型」になく、「折りたたみ式」と共有する部分が一つだけある。
「折りたたみ式」携帯を使う場合、使用者はまず携帯を「開ける」ことから始めることになる。そして、利用が終われば「閉じる」という動作を行う。この「開ける」、「閉じる」という動作は、携帯を使ってのコミュニケーションを行うときの前段としてとても大事なように思える。
しかも今の携帯では背面にも液晶画面を持ち、誰からの電話であることがすぐにわかるようになっている。

これを対面のコミュニケーションの流れから見てみると、まず僕は相手を認識するところから始まるのだと思う。そして認識した相手が、僕にとってコミュニケーションしたい相手かどうかを判断することになる。嫌であれば僕はそのための準備を行う。僕は相手が僕を見つける前に姿を隠すだろうし、もしくは無視するだろう。コミュニケーションしたい相手であれば、僕はそのための準備を行う。笑顔を作り、自分がここにいることを相手に伝える。そして、何を話そうかと考える。

僕が思うに、この携帯を「開ける」、「閉じる」という行動が、その準備に該当するような気がするのだ。文字通り、コミュニケーションを「開ける」と「閉じる」ということを行動によって示しているように思ってしまう。そして、伸縮する携帯の場合、「開ける」が「伸ばす」、「閉じる」が「縮める」に該当すると思う。
勿論、そういう方面の知識はまったく持たない、僕の思いにしか過ぎない話ではあるが、そう考えていけば、「直立型」が日本においてなぜ姿を消していったのかが、なんとなく理解できる。
その状況が、日本特有かどうかはわからないけど、もしそうなら、理由を考えるのも面白いかもしれない。

正直言えば、伸縮する携帯が誰に売れているのか僕はまったくわからない。でも恐らく、男性により多く売れているのではないだろうか。

補足:
そのほかの「折りたたみ式」の要素、「閉じる」ことで「隠す」という面もあるが、今回はその方向では考えなかった。さらに、「折りたたみ式」の形状からみた利点、たとえばコンパクト、液晶画面が大きい、数字キー配置もある程度のゆとりがある、設計面からより多くの機能が追加できる、等等のことも表層的な感じがしたので、それも考えなかった。

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