2005/07/04

図書館雑文

利用者の立場で図書館の事を書くつもりでいた。でもそれには少し時間がかかるようだ。利用者の立場で言えば、僕は図書館が抱える様々な問題に無関心というか、問題自体を認識していない。

利用者から見ると、図書館は常に無料のサービスを提供してくれる場所であり、空調が整った快適な空間で、読書もしくは勉強ができる。それは利用者にとって常識的なことであり、先々その提供が途絶えることもしくは変化することをなどないと信じて疑わない。
それらの事などに、利用者として語りたいと思ったのだが、僕の力不足で少し難しい。

図書館でまず思い出すのは映画「ショーシャンクの空に」。アンディーが図書係として刑務所の図書室を整備する。刑務所での図書館。それは「希望」を描くこの映画にふさわしい存在だった。アンディは映画の中で言う。「音楽は誰にも奪えない」と。それは、図書館に寄贈された中に入っていたクラシックレコードを刑務所中に放送する事で、罰則として独房に2週間閉じこめられた後で言う言葉だった。人の心の中のものを他人は侵すことができない。それは図書館に所蔵する様々な書籍・音楽によって象徴的に現されていたように思うのだ。

近くの図書館に行ったとき、所蔵している書籍に囲まれると、時折僕は軽い目眩さえ感じる。知らないことが僕には多すぎる。そのことと、これらの書籍を自分の人生において全て読むことが不可能な事を悟るのだ。勿論、量とかが大事だと言っているのではないが、それらの書籍の中で知らぬ間に、自分の経験とか知識に対し謙虚になっているのは間違いない。

そういえば、以前「東京国立近代美術館フィルムセンター」に度々行った。そこの図書館は映画に関する資料が多かった。最近はどうだろうとネットで調べたら、イベントとして「生誕百年特集 映画監督 豊田四郎」を開催しているようだ。豊田四郎監督作品で未だに印象に残っているのが「地獄変」。中村錦之助・仲代達矢の演技が今でも覚えている。フィルムセンターの図書館に行きがてら映画でも見てこようかなと少し思う。

あと図書館で思い出すのは「国際子ども図書館」。ここには昔の絵本が多い。サイトを見るだけでも楽しくなる。ただ問題は開館時間が社会人にあわないことだ。
元NHKアナウンサーである鈴木健二さんは、昨年まで青森県立図書館長だった。そこで「おはなし会」として朗読と語りを始めた。それは今でも続いているようで、図書館の利用者向けへの一つの文化活動として根付いているようだ。

現在、図書館は様々な問題を抱えている。それに、昨年米国で図書館が市の財政問題で閉館に追い込まれたニュースを何件か聞くように、図書館の維持には相当の費用がかかる。図書館閉館のニュースは対岸の火事ではないのかもしれない。当たり前のように受けているサービスも、今後は様々な社会問題への対応による支出により、図書館への財源割当は減ってゆくように思える。そのとき、今後専門家だけでなく、利用者側の意思表示も必要になるときがくると思う。

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