2006/12/10

六義園

park at night

駒込にある六義園に行ってきた。東京でも紅葉で知られている公園である。紅葉の盛りの時に限り、夜間ライトアップがなされる。幻想的な夜の紅葉は一見の価値があると思い、出かけたのだが、この時期でも紅葉しているイロハモミジは半数くらいで、例年と較べると少ないとのことだった。

でも初めての六義園に僕はじっくりとその世界を堪能した。人は多かったが、細い道を行列が出来る程ではなく、所々知られている鑑賞ポイントが多少の人混みがあるくらいだった。おそらく、僕が言った日では紅葉は十分ではないことを多くの人が知っているのだろう。

来場者の半数以上が何らかのカメラを持っていた。三脚を持っている方も多い。確かにこの暗さでは三脚を使わずの撮影は苦労することになる。しかし時折の園内放送によれば、歩道の幅が狭いが故に、三脚での撮影を禁止しているようでもあった。僕自身はK100Dにメインカメラをしてから三脚は殆ど持たなくなった。

K100が搭載するブレ補正が強力で多少の暗さでは手持ちでも十分に耐える。ただ六義園の暗さではそれも適わなかった。そこで歩道の足下を照らす証明の上にカメラを置き、それを三脚代わりにして撮した。ライトアップする証明の影響で、明かりに照らされた紅葉は輝いて美しい。しかし写真では、その箇所が白飛びしてしまう。その為には露出補正をプラスの方向で変更しなければならないが、その時は確実に三脚を必要とする。

道々に安全のために立っている係員が、今年は昼に来た方が紅葉の赤を堪能できますよ、と話していた。それでも道を照らす明かりは細々で、全体ではとても暗く、その中でライトアップされた樹木を眺めているだけでも、その樹が紅葉していなくても、幻想的なその姿は十分に楽しむことが出来た。

今回は初めてと言うこともあるが、ライトアップされた紅葉が、写真となったときにこれほど色が白跳びするとは思わなかった。そして園内の暗さ。これら撮影時における問題への対応を考えれば、写真でさらに様々なイメージを構築することが出来るかも知れない。

写真において、自分が見たままを基本に画像を調整することは、僕には違う。僕が見たままというのは、それは誰が見ても、脈路自体が変わることはないが、細かに言えば僕にしか見えないイメージでもある。僕の目は、肉体的に言えば、眼を動かす6つか7つの筋肉が衰えているかも知れない。また眼球にあるレンズの解像度も悪いし、色彩に関する感覚も識別に関して多少自信のなさもある。それら実態を加味すれば、眼から脳内に流れる情報量とそれに基づいて作られる像は、僕自身だけの像であるのは間違いない。

故に、僕が見たそのままを忠実に写真イメージとして構築することは意味がない、と思うのである。逆の考えもあることは無論理解するが、個別から普遍性なイメージに昇華し、それを作ること、具体的には、現実的な可能性の中で、印象的な写真を作ること。それが今のところ、僕の現像時の方向となる。

六義園では比較的年配者が多かった。しかも一人での鑑賞は殆どいなかった。思いのほか寒く、シャッターを押す手が冷えてかじかむ。途中で、休憩所が幾つかあり、そこでは焼き団子とかうどんとか暖かい食べ物が売っていた。焼き団子を食べる。タレはどうするかと聞いてきたので醤油でと答える。美味しかった。

その休憩所から少し歩くと、六義園のメインとも言える大きな池があり、池の周囲に植えられている、松、モミジ、等がライトアップされて鮮やかに色が浮かび上がる。しばし見とれて眺めている。人が多くても話し声は殆ど聞こえない。音があっても、この風景の静寂の中に呑み込まれていったような、そんな感じを持つ。

nocturnal view of autumn colour

六義園への道程
  • 交通    JR山手線・地下鉄南北線駒込徒歩7分/地下鉄三田線千石徒歩10分
  • 開演時間 9:00~17:00(入場は16:30まで) ライトアップ期間は21:00まで。
  • 入園料  一般:300円 65歳以上:150円
  • 休み    年末年始

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