2007/01/16

タマもどきの最期

駒沢公園にはかつて「タマもどき」という名前の猫がいた。

彼は駒沢公園の西側を支配していた大ボスで、とにかくケンカが強かった。彼にかなう猫は駒沢周辺には存在しなかった。それでも、タマもどきに対抗する勇敢な猫がたまには現れる事もあった。なにしろ大ボスであれば、一つのハーレムを造ることが出来る。それも半端なハーレムではない。雄猫であれば誰でもボスになろうとするだろう。自分の子孫を残したいという本能があるから。

でもタマもどきは強かった。相手の猫は顔を大きく腫らすくらい怪我をするか、その前に彼の迫力に負けて逃げ出すかのどちらかであったという。

タマもどきの名前は、昔駒沢公園に美人で賢いタマという白黒の猫がいて(これも伝説となった程の猫)、その猫に似ていたのが理由らしい。でも似ていたのは姿だけで性格は似ていなかった。

そのタマもどきが昨年2006年12月24日に亡くなった。歳にして15歳くらいというから、まぁ大往生なのかも知れない。聞けば死ぬ一週間くらい前まで、雌猫と見れば追いかけ回していたという。英雄色を好むと言うが、これは猫の世界でも当てはまるのかも知れない(笑

僕はこの話を駒沢公園に住んでいる方から聞いた。その方が住んでいるところ(駒沢公園のとある場所)には猫が20匹以上集まっている。僕はその猫を時々撮りに行っている。その縁で言葉を交わすようになった。その方はとにかく猫が大好きで、猫の話をしたらとまらない。そして僕は彼からタマもどきのことを教えられたというわけである。

その話を聞いた時、一つの考えが頭をよぎった。家で一緒に暮らす猫(ジュニア)を駒沢公園で拾ったのは、今から10年くらい前になる。ジュニアは雑種で、毛の色は白が多い。想像では三毛と白黒の血が混ざっているのではないかと思っている。そして拾ったのは駒沢公園の西側である。産まれてすぐに紙袋の中に入れられ捨てられていた。誰が捨てたのかはどうでもいい。今ではジュニアと一緒にいられることが僕には嬉しいのだから。

頭をよぎったのは、もしかすればジュニアの父親はタマもどきかも知れない、ということだ。10年前と言えば、タマもどきは5歳、絶頂期である。タマもどきが家で飼われていた三毛猫を襲い、望まぬ子としてジュニアが産まれた、そして捨てられた・・・・(なんかどこかの昼メロの様な話になってきた 笑)
その可能性は否定できない。なにしろタマもどきの子孫は駒沢公園には多い。白と黒の猫は殆どが彼の子孫なのだ。

話を聞き、家に帰ってジュニアの顔を眺める。彼は餌をくれるのかと思い、にゃんと鳴く。親がいなくても子は育つと言うが、ある意味猫は人間より逞しい。そんな気がしてきた。

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