あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)
おまえがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたしのすべてのさいはひをかけてねがふ
(宮沢賢治「永訣の朝」から抜粋)
宮沢賢治は、愛する妹であり自分を深く理解してくれた妹・トシの末期の願いを叶えるため、雪の中に飛び出す。そしてトシが「雪を取ってきて」と賢治に頼んだことは、本当は残される自分の為だったと気づく。その時、トシへの最後の一腕となる、薄暗い空から降る雪は、天の恵みに賢治には思えたことだろう。
野山に降り積もる雪は天然の貯水池となり春に豊富な水を提供する。また雪があってこそ生業を得ている方も多いことだろう。その雪が今冬人々に多くの被害をもたらせた。天の采配は人智の及ぶところではないが、東京に降る雪に北国の生活を思う。
広島原爆投下の後に黒い雨が降った。その時冬であれば黒い雪になったのであろうか、それだけはあってほしくはない雪の色だと思う。
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