彼女は美しい。座っている姿、佇んでいる姿、どの姿にも僕には気品を感じさせる。見ていて飽きない。そして僕が見ていると、モノクロもじっと僕を観察している。
名前の由来は白黒の「モノクローム」からだと、名付け親である方に聞いた。モノクロは公園で生まれ育った。片方の眼は生まれて間もない頃に事故にあったという。事故の内容は聞いてはいないが、外で暮らす猫にとって大きなハンデであるのは間違いない。
どことなく家のジュニアに似ている。だからこそ僕はモノクロに愛着を持つのかもしれない。白黒の猫は身体が大きくならない、端正な顔立ちをしている、あまり泣かない、等と聞いたことがある。その言葉に漏れずモノクロも身体は小さい方だ、そして無口である。モノクロがじっと僕を見る目線に耐えられず、僕は思わず目線を外す。そして外したことに少しだけ戸惑う。
モノクロは生きている。懸命とか頑張ってとかの形容詞は彼女には無縁の話だと思う。それは人間達の思い込みでしかない。生きる、とりあえずそれだけ。でもその他に何が必要なのだろう。
またモノクロに会いに行こう。今度こそ約束の食事を持って。
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