「日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞のニュースや社説などを読み比べできる新しいウェブサイト「あらたにす」(http://allatanys.jp)が31日午前7時すぎ、オープンする」日経・朝日・読売という新聞購読者数によるシェア3強による連合は、新聞社という企業による最終の目論見のように思える。朝日新聞社説「あらたにす発足―言論の戦いを見てほしい」では新聞と言うメディアを前面に出しているが、実態はそうではなく、あくまでもビジネスとしてのネットにおける企業連合であることは間違いない。
(2008/1/30 朝日新聞)
新聞社である限り自社サイトのアクセス数を気にしないわけにはいかない。グーグルニュースの登場、産経新聞のMSNへの統合、毎日がMSNから独立してもアクセスを維持している現状、それらのなかで新聞と言うメディアがネットでどの様に変化せざるを得ないのか。その回答が「あらにたす」であるとすれば、少しお粗末と僕には思える。
「グーグルニュース」は記事をそれ以上分解不可能な単位として分類している。「あらたにす」は分解不可能な単位を新聞社においている。別の言い方をすれば、「あらたにす」は新聞類-朝日新聞種という切り分けである。新聞社を統一された分解不能な主体として見せることは、「グーグルニュース」に対する反論でもあるかもしれない。しかしそれであれば、日経・朝日・読売という3社だけでなく毎日と産経も参加させるべきだろう。
MSN産経は実質紙媒体の新聞紙よりも情報量が多い。産経新聞を読めば、記事の末尾に「詳細はMSN産経」と書かれているくらいだ。特に裁判関係の実録記事は臨場感があり面白い。MSN産経は当初はMSNというポータルサイトにリンクされることでアクセス数を稼いだと思うが、現状もアクセス数を維持しているとすれば、それはその情報の種類と量の豊富さであろう。
さらにMSN産経では記事中のキーワードから簡単に検索も可能となっている。人は発生し流れる「出来事」を知りたいと思う。自分の生に与える影響度合いを計る気持ちもあるかもしれない。でも「出来事」は流れているので、知ることは殆ど不可能である。流れの切り取り方により「出来事」の姿は大きく変わる。その「出来事」を知らせるのが新聞の役目であるのなら、「出来事」を中心に纏めるほうが理にかなっている。
無論「出来事」を多く集めても流れを造り出す事は出来ない。一つに見える「出来事」には無数の「出来事」が重なり合い、それらは一つ一つ個別でまとまることも出来ず、ただ流れていくとするのであれば、それぞれの新聞に書かれた「出来事」と「出来事」の間を読み取ることしか出来ないかもしれない。
僕はこれらのことを考えると「あらたにす」は、とても興味ある試みだと思うが、先行きは難しいように思える。何を持って「成功」とするのかは僕にはわからないし、ニュースサイトの一つとしてみれば、これはこれで便利ではある。ただ朝日新聞社説の心意気とは程遠く、僕としては複数のなかの一つでしかない。
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