一枚の写真を
一枚の写真を読み取ることは記号論の手法さえ知っていれば案外に誰でもできる。特にドキュメンタリーであれば尚更だろう。ドキュメンタリーの場合は、カルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」以降、一枚に全てを含ませる事が求められることから読み取りやすい。一枚に全てを含ませるとは。つまり僕が考えるにこう言うことだ。「決定的瞬間」は起源を要求する。物事の起こり、それがあれば全てがわかるというもの。「決定的瞬間」とは、その構図に絵画的なものを要求する。カルティエ=ブレッソンは元々画家だった。彼は「決定的瞬間」という思想を絵画から持ってきた。例えば歴史絵画のように、もしくは宗教絵画のように、その一枚の絵に全てを含ませる。この考え方はドキュメンタリー写真家には大いに受け入れられた。なぜなら彼ら(彼女ら)は新聞各社への売り込みに過当な競争にさらされていたし、新聞社は見出しに誰でもがわかる事件の一枚を欲していたから。
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