会社の同僚に帽子をかぶって出社する男が一人いる。帽子は上質な中折れハットで丁寧に造られたことが一目でわかる。あまりにも格好が良いので彼が帰宅する際にどこの帽子かと聞いてみたら、彼はすこし微笑んで小声でボルサリーノと答えた。実際に僕がボルサリーノを見たのはこれが最初だった。ボルサリーノと言えば、映画の影響かギャングを思い出す。それも下っ端などではなくボス級が被る帽子というイメージだ。そして映画に出てくる彼らは一様に格好が良い。今ではお目にかかれない絶滅品種的な格好良さだ。日本で言えば明治終わりから昭和の初め頃の男子の格好良さに近いかも。何というか色気みたいなものがある。きっと僕はボルサリーノをみてその色気に憧れを持っているんだろう。でもただ帽子を被ったって色気が出てくるわけじゃない。それが残念。
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