2006/03/17

扉に置かれた花束


Bouquet sent when it is absentOriginally uploaded by Amehare.

扉に立て掛けられた花束が人の痕跡を、しかも近い時間での痕跡を僕に印象づける。
花束を持ってきた人は、誰もいない家、呼びかけても応答しないその状況に、しばし立ちすくんだことだろう。

扉に立て掛けられた花束に、花を持ってきた方の思いが、白い紙に包装した姿を大きく見せる。手渡しできない思い、言葉を交わせないことに、その方は一瞬の後悔の念を持ったかもしれぬ。

もしかすると、家には人がいるのかもしれない。花束を持って訪れた人を無言の拒否で応じたのかもしれない。そして持ってきた方はそれを感じていた。だから花束を扉に立て掛けることがなかった。扉を開ける勢いで、花が傷つくことを畏れた。それは僕の真昼の夢語りでもある。

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