「桜の季節」と題したこのブログ記事の「桜」とは、ソメイヨシノのことに他ならない。僕自身が生まれたときから「桜」とはソメイヨシノであった。僕の「桜」のイメージはソメイヨシノによって形成されたものであって、逆に言えばソメイヨシノの特徴をあげることで「桜」のイメージが具体的に示されることになると思う。
ここでソメイヨシノについて、一般に知られていることを整理することは今後の展開にとって大事なことだろう。勿論、整理といってもそれが正しいかどうかは僕にはわからない。特に歴史的なことについての言及はここでは一切行わない。
概ねはWikipedia「ソメイヨシノ」を参照、または引用した。
- 江戸末期から明治初期に、江戸/東京の染井村の植木屋が「吉野桜」として売り出した。
- 1900年(明治33年)「日本園芸雑誌」において「染井吉野」と命名。
- エドヒガンとオオシマザクラの交雑種。
- 花弁は5枚一重で、葉が出る前に花が開き、満開となる。
- 満開時には花だけが密生して樹体全体を覆う。
- 花色は、咲きはじめは淡紅色だが、満開になると白色に近づく。
- 花見の期間は概ね10日間
- 接ぎ木や挿し木で増やすクローン植物。
- クローン植物として全て同じ木であるがゆえに、一斉に開花し、一斉に散る。
- 成長が早い(見栄えまで10年)が、寿命も短い(60年説がある)。
(但し弘前市には樹齢100年を超えるソメイヨシノも現存する)
- 単品種集中で植えらている場合が多い。いわゆる群桜状態。
- サクラ前線の対象桜(一部地域を除く)。
- 東京での開花宣言は靖国神社にある基準木3本のうち2本の開花で宣言する。
- ソメイヨシノが最初「吉野桜」で売り出したのは宣伝効果のため。
- 現在の日本で植えられる桜の7割潤オ8割を占めるといわれている。
- 人間の管理を大きく必要とする。
- 他のサクラよりてんぐ巣病(てんぐすびょう)にかかりやすい。
しかしその関連以前にも桜はこの国に好まれていた。ソメイヨシノが新参の園芸品種だとしても、それは長年桜を好んできたこの国の人たちにとって、桜だと認めたからこそ、ここまで栽培されてきたのだと思うのである。
現代においてその関連性を導き出すことは、事実かもしれないが、極めて簡単であり、あまりにも単純かつ安易でもある。そして僕の 「ざわつき感」を考える際に不要のような気もしている。
「吉野桜が普及する前に、「吉野の桜」という名が日本語の世界で普及していた。そういう名の地層、想像力の地層の上に、「ざわつき感」の要因の一つと言えるかもしれないのは、ソメイヨシノの花見期間の短さである。佐藤俊樹氏はその著書の中で、加えて群桜の結果、鑑賞する場所が狭いのもあげていた。つまり一度に大勢の人が狭い場所に集まる。短期間だからこそ、そこで催される風景は一種狂乱じみてくるのである。
ソメイヨシノは根付き、広まっていったのである。」
「ソメイヨシノが広まることによって、ソメイヨシノの咲き方に特にあう言説が選択的に記憶され「昔からこうだった」
と想像されるようになる。いわば想像が現実をなぞっているわけだが、義政や芭蕉や東湖の句はもう一つ重要な事実を教えてくれる。
ソメイヨシノの出現以前に、ソメイヨシノが実現したような桜の景色を何人もが詠っていたのだ。この桜が現実にした光景は、
想像上ではすでに存在していた。桜の美しさの理想(イデア)として、もともと存在していたのである。」
(佐藤俊樹 「桜が創った「日本」」から引用)
その文章を読み、僕の中に単純に浮かんだものは「祭り」であった。もしかすれば僕の「ざわつき感」は、「祭り」が同じ場にいる人に与える感覚に似ているのかもしれない。まずはそんな事を思ってみた。
0 件のコメント:
コメントを投稿