2006/02/07

夜、猫なで声に誘われる

昨夜天気予報通りに雪が降り始めた。雨混じりの雪は地面に落ちる毎にびちゃびちゃと音が聞こえてきそうだった。雪が降っていると気が付いたのは猫の鳴き声からだった。見ると僕がレオカノと呼んでいる雌猫が家の塀の上から窓に向かって鳴いていた。レオカノは身体の芯から寒いらしく、丸くなって、小さい身体がさらに小さく見えた。

普段も時折塀の上から家の中をのぞき込んで鳴くこともあったが、餌が欲しいのか入れて欲しいのかはわからないけど、無視することが多かった。それにレオカノはかわいらしい鈴が付いた赤い首輪をしていたので、てっきり家の近くで誰かに飼われていると思っていた。でもどうも捨てられていたらしい。裏の家が引っ越しをして、空き地も含めて、そこに数軒の家が新築されたが、引っ越しの際に置いてきぼりをされてしまったようなのである。

そのレオカノが雪の降る中塀の上でじっとして鳴いている。思わず窓を開けて話しかける。突然に窓が開いただろうか、レオカノはびっくりして僕の顔を眺める。間近でレオカノを見るのは初めてだった。よく見ると小顔で目が丸く可愛い、それに目鼻立ちもはっきりとしている、美人である。寒いから入って、と手を差し伸べるが、どうも警戒心が強い。手を伸ばす毎にレオカノは遠くに移動する。そしてそこで鳴くのである。

猫なで声とはよく言ったものだ。猫なで声に反応する人としない人の2種類に分けるとすれば間違いなく僕は反応する方である(人の猫なで声には案外強い、そう自分では思っている・・・笑)。あの声で雪の中鳴き続けられるとつらい。何度も声をかける。時は深夜、まわりは静かである。その中で男が猫なで声に合わせて会話している様は異様な空間かもしれない。

結局レオカノは家には入らなかった。しばらく鳴いてそれから塀をつたって奥の方に消えていった。先程レオカノの鳴き声を聞いた。どうやら昨晩を乗り切ったらしい。

猫毛は細くて柔らかな毛を指して呼ぶが、ジュニアの毛は典型的な猫毛である。行方不明のレオは猫毛には程遠いほど堅く太かった。つまり猫毛ならぬ犬毛?である。レオカノも毛は触ってはいないが見た目は犬毛に近い。ああいう毛の猫は寒さに強いのかもしれない、などと根拠もなくそう思っている。

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