2006/02/24

二枚の夫婦岩の写真(一枚目)


meoto-rock(married-couple rocks)Originally uploaded by Amehare.

始めて伊勢に行った時の写真。風が強く、波が参道まで押し寄せた。波しぶきを体に浴びながら、見学者たちはコートの襟を立て、立ち止まることなく夫婦岩を一瞥し写真を撮り足早に移動する。

荒々しく岩にぶつかり白く砕け散る波、岩同士の接近から流れが速く渦を巻く土色の海。空は透明感を持った青さで、そこに点在する雲は海とは対照的な穏やかさを持って時を過ごす。

夫婦岩は相互をしめ縄で繋ぐことにより鳥居でもあると聞いた。対岸より約600m程沖合いの海中に御神体があるのだそうだ。また夏至にその鳥居の中心から日が昇り、その美しさは例え様のないほど荘厳なのだとのこと。そんなことを同行者から聞きながら、僕はただ身近に見るこの二つの岩に、徐々に圧倒されるのを感じる。

祀られているサルタヒコは善導の神様と言われている。また「夫婦岩」の愛称から夫婦円満のご利益もあるという。どのような人たちが、この岩を信仰し守りそして慈しんできているのかを僕は知らない。でも間違いなく夫婦岩に僕が感じたのは、それらの時空を超えた人の思いであった。

人の思いは途切れることなく一本の線となって繋がっているのだろうか、とういう問い。繋がっているのであれば、繋ぎとめる力はどこから湧き上がり、どのように維持しているのだろうか。それを幻想とか誤解だと言うのはたやすい。歴史から物事を相対化する癖は近代思想の一つの病かも知れぬ。そこから何かを「告発」したと感じることこそ、僕にとっては一つの幻想なのである。

おそらく「夫婦岩」では何かが繋がり、ここに「夫婦岩」として成立している、と僕は思う。

0 件のコメント: