初めてネクタイをしたのはいつだったのか、今となっては記憶がまったくない。でも何故かピンク色のシャツを初めて着たときのことは覚えている。VAN系列のGANTというブランドのシャツだった。オックスフォード地のボタンダウン。色は少し濃いめのピンクだった。そのシャツをネイビーブレザーに合わせようと買ったのだった。大学時代の頃だ。現在よりも価格は安いといえ学生だから何枚も一度に買えるはずはない。その一枚にピンク色を選んだこと自体僕にとっては大変なことだった。そしてそれが僕が生まれて初めてのピンクでもあった。
たかが洋服の話だ。どんな洋服を着ても中身が変わるわけでもない。そんなことは知っている。でもその時の僕は、生まれて初めてのピンクのシャツを着てどんなことでも出来るような気持ちになったのも事実なのだ。僕の世界の中にピンクのシャツを着るということが加わったそれだけなのに、何か大きく世界が変わったように僕には思えたのだった。そういう事ってあると思わないか。
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