桜というのは写真にとるのが難しい、と僕は思う。おそらく桜に対するイメージが実際よりも先行しているのだ。だからどんなに美しい写真が撮れたとしても、それは最高ではない。脇目も触れずに無我夢中で桜を撮り続け一万回ほどシャッターを切ったら幸運な偶然が重なり一枚ぐらいはイメージ通りの桜が撮れるかも知れない。かといってそれを期待してカメラのファインダーから桜を見続けるのでもない。シャッターを切るその瞬間、僕の心に浮かぶのはイメージの桜なのだ。だから写真として桜を撮れなくても常に僕は自分のイメージの桜を撮り続けている。逆に言えば、シャッターを切るという動作は写真に常に先行している限り僕は一時的にせよ理想の桜の写真を撮り続けているということでもある。
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