2012/04/11

サクラが散り始めた

会社近くの桜が散り始めた。慌ただしさの中、今年のサクラを少しも楽しんだという気がしない。散り急ぐなとの思いとは別に今夜は雨模様となった。明日になればサクラは散ってしまった後だろう。淡い桜色に染められた東京の街は思い返せば一瞬のことだった。それでもこの一瞬の風景を得たいためにサクラは植えられる。それにしてもサクラに永遠を感じるのは何故だろう。いわずもがなここでいうサクラとはソメイヨシノのことだ。特に散り始めにそれを感じる。散るには理由がある。そしておそらくサクラは理由など必要なく花びらを散らすのだ。受精した花は緑色の実を付ける。それはやがて熟し赤褐色の実となり鴉などに食べられてしまう。鴉などの胃に消化されても種だけは残り続けるだろう。いずれは種は地面に鳥たちの糞尿と共にまかれることになる。でもソメイヨシノの種は発芽することはない。それが人工の故なのだが、そのことをソメイヨシノは知っているのだろうか。いや擬人化するのはやめよう。自身の種子から繁栄することはないが、人間達はせっせとソメイヨシノを繁殖させているのではないか。人間の力を利用することによる繁栄。それも確かなソメイヨシノの戦略とも言える。そしてその戦略の戦術として散り急ぐ花びらがあるように思える。そこに永遠性を感じる僕のような者のために。

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