2006/12/06

いじめを素人ながらネットワーク的に捉えてみる

いじめ問題について少し考える。と言っても多くの関連するブログを読んだわけでもなく、また新たな情報を仕入れたわけでもない。だから僕の書く「いじめ問題」については、おそらくありふれた意見に過ぎない、というのは重々承知している。ただ、社会の中で教育問題は重要なキーの一つだと思うし、ネットワーク的に言えばハブだと思うから、思うことをここに書こうとするのである。

当初「いじめ問題」は「いじめられる側」の問題について語られることが少なからずあった。しかし今では「いじめる側」の問題について語られることが多い。先だっての「緊急提言」では明確に「いじめは反社会的行為」と述べられている。しかし、誤解を与えるかも知れないが、僕にとっては「いじめられる側」から「いじめる側」へのシフトは、被害者保護の一環の中にあろうとも、それが中心の議論は、無くさねばならぬ「いじめ問題」の核心に辿り着くことは難しいと思える。

生徒をノード、生徒間の関係をリンクで現したとき、一つのネットワークを想定することが出来る。ネットワークにはハブがあり、そのハブがネットワークを維持している。ノード間には強い結びつきと弱い結びつきがあり、ここでは強い結びつきでのネットワークを一つのクラスタとする。いじめはおそらく一つのノードに対して行われる攻撃だが、その結果に現れることは、そのノードから見たときネットワークからの分断ということになる。しかしネットワークは存続している、故に分断されたノードは孤立感が深まり、一つの世界の崩壊という感触を持つにいたる。

いじめには幾つかの段階があると僕には思える。その事は、これも想像だが、多くの人が当たり前のこととして受け取っている事だろう。しかし、いじめをいじめの現象に従って、その中で象徴的な現象を洗い出し、段階を明確にしたものを、僕は今までに聞いたことがない。大抵話し合われることは、最終的な「いじめ」の事象であり、それも最悪な「自殺」によって表面化することになる。だからこそ「緊急定義」では、その時点での問題解決を中心に据えて取り扱うことになっているように思える。

学校においてハブとしてのノードの一つは、具体的に言えば教員であることは間違いない。
またクラスには教員以外にもハブが1~3は存在する、そして現実的にクラスの運営はハブを中心に行うことになる。ハブ同士の結びつきが強いほど、そのクラスもしくは学校は安定する。逆に言えば学校というネットワークを安定するために、ハブは問題となるノードを分断することもあり得ることになる。

特定のノードへの攻撃が如何にどの様な理由で行われるのか、それは現象としては様々であろう。しかしここで問題としたいのは、ハブから特定のノードへの攻撃は、既にその時点で致命的であるということである。故に、ハブの一つである教員の責任は重たいのは事実だと思う。またその他のハブも同様である。

しかし、基本的にハブはネットワークを維持する事を原則としている。だからハブが特定のノードを攻撃することは、全体から見ると割合は低いと、僕には想定できる。特定のノードへの攻撃はその他のハブ以外のノードの確率が高い。攻撃を受ける特定のノードは、通常であれば現実のクラスという枠に囚われること無く、強い結びつきのノード間でクラスタを作っている。

言うなれば、そのクラスタのネットワークが崩壊しない限りノードが分断することはあり得ない。攻撃をするノードが、同一クラスタ内に存在すれば、分断は簡単に起きる。別クラスタに在るノードからの攻撃の場合、攻撃を受けるノードのクラスタ内の結びつきに左右することになる。

問題は、その時点でのハブの動きである。ハブがネットワークの維持に努める場合、その攻撃を回避するか、もしくは攻撃を無効化するか、の判断に迫られることになる。その結果、一つのクラスタの分断は避けるという行動に出る。クラスタの分断はネットワークの崩壊への雪崩的現象を引き起こす可能性がある。よって攻撃が止まないとき、ハブはネットワーク維持のために、攻撃を受けるノードの分断へと行動を移す。

つまり、「いじめ問題」は過去に「学級崩壊」の問題があったが、それへの対応が引き金になっているのあるように思える。学級の崩壊を阻止する結果、いじめが増幅される。それは一つのジレンマであろう。

しかしこの僕の仮説が事実であるとすれば、現在問題化している「いじめ問題」の根本的な解決は、現行制度内では存在しないことになる。少人数での学級は、ネットワーク内のクラスタの数を減らし、かつ結びつきを強くする事に繋がるかも知れない。また、1クラス複数担任制度の導入(これは議論にも出ていないが)は、ハブの個数を増やすことにより、ネットワークの崩壊を防ぎ、かつ特定ノードの分断の可能性を減らす可能性も出るように思う。
なにより教員と生徒のハブ同士によるネットワーク構成でなく、複数教員の複数ハブ化によるネットワークと、チェック機能の期待は少なからずの「いじめ問題」対応の効果があると思う。さらに1クラス複数担任制は「学級崩壊」にも効果がある様に思える。

少しも従来の理論を駆使しての記事ではない。ゆえに僕の思いこみも多大にある。それは承知しているが、ネットワーク社会学的にこの問題を捉えるという視点からの記事も、それが拙いとはいえ必要と思い、ブログに載せることにした。

既に誰かがより精度をもって記事にしているかも知れない。そうであれば、それは僕の勉強不足であるとしか言いようがない。

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