2006/12/25
クリスマスの話題
図書館に行く途中に、綺麗にガーデニングしている家がある。道路に面したその家は、正面は狭いがガーデニングに工夫を凝らし、道行く人を楽しませてくれる。垣根の隙間から中庭を観ると、様々な草木が愛情細やかに育てられているのがよくわかる。
工夫を凝らしたガーデニングが楽しかったので、持っていたカメラで何枚か写真を撮る。じっくりと見れば見るほど面白い。夕暮れ時、通りを何人かが歩いている。夢中で写真を撮っていると、突然に背後から声をかけられた。
「こんにちは」
振り返るとそこに一人の婦人がたっていた。年の頃は60の半ばと思える婦人は、僕を見てにこにこと笑い、「お好きなんですか?」 と聞いてきた。
咄嗟に、この家の方だとわかる、立ち上がり、「ガーデニングがとても素敵だったので、写真に撮らせていだきました。」と答える。
彼女は笑顔で僕の言うことを聞いている。そして再び「お好きなんですね。」と話す。
「はい、いえ・・・あの、ガーデニングが好きと言うわけでもなくて、草花の緑とか色の美しさが好きで、あ、そういうことが好きと言うことですよね。」
と、意味不明なことを語る僕。
そして彼女と家の前で少し話をする。5月になれば、家の周りはバラの花で覆われるのだそうだ。
「その頃にも来てくれると嬉しいです。」と彼女。
12月は家の外観をイルミネーションで覆う。でも年々とイルミネーションは質素になっていくとのこと。
彼女たち、つまり彼女とその夫が家の外観をイルミネーションで覆ったのは、今から35年くらい前との事だ。結婚早々の時、同居する親と一緒に家を建て直すことになった。その時に、新婚夫妻の新たな家への要望は一つだけあった、それはとても強い要望で、親の反対にも負けることはなかった。その要望とは、家に煙突を設けること。
かといって、暖炉を作るのではない。年に一度のクリスマスの時、夫がサンタクロースの格好をして煙突から降りるために、たったそれだけのための煙突なのである。
しばらくして夫妻に子供が産まれる。その頃から、家をイルミネーションで覆うようになった、一つには夫が日が暮れてから煙突に登るための明かりとしての役目もあった。その頃は、イルミネーションなど殆ど見かけない時代だった、だから夜の闇の中で、その家が輝くのが一際美しく、そして目立ったのだそうだ。
家の前で子供たちと、サンタクロースの姿をした夫の写真を撮り、イベントは終わる。
そのイベントは今でも続いているとのことだ、ただサンタは代が変わり、現在は娘さんの夫がその役目を担っているそうである。
「でもね」と婦人は語る。
「でもね、昨年のクリスマスの時、孫がサンタクロースがお父さんであると疑ってしまっているんですよ。今年はどうなるか」
昨日の24日、その家でサンタクロースが煙突から降りてきたのか、少し気になっている。
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