2005/05/19

言葉で写し取るゲーム

帰宅時に素晴らしい景色を見るとカメラを所持していない事を悔やむ。多分、大体の人はカメラを持って会社などには行かないとは思うのだが、そういうときに限って写したい風景に出会うのは何故だろう。今日の東京で見た空は素晴らしかった。

カメラで写す変わりに、一種のゲーム感覚で、言葉を使って写し取ってみる。
ルールは、横文字は使わない、一行に必ず色を入れる、出来るだけ短く簡潔な文章を心がける、写真と同じようにフレームを出来るだけ固定する。

ゲーム開始

薄雲の鉛白色の空に
灰色の雲が瞬く間に覆う
季節はずれの地上に落ちた一枚の青朽葉色の木の葉が
濃緑の芝生を音もなく滑り、俄雨の到来を告げ
少し乾いた駱駝色の地に素描模様を描き始める
雲は流れている、僕は一人、空色の軒下で佇んでいる
短い雨は風の中で徐々に透明になり、やがて消える

一瞬の静寂、そして人びとと自然のざわめき、雲間から覗く蒼天の空
何という景色だろう、言葉を無くす程の無限の色
高度が違う何種類もの白く輝く雲、一番低い雲は手が届きそうだ
いや白と一言ですますことが出来ない
瓢箪の形をしている左遠方の雲は、利休茶色から蒸栗色までの微妙な色で聳え
少し横の低い雲はまるで薄抹茶色の洋梨
さらにその上は一面に、少し青みがかった鉛白色の雲海が広がる
そうそれはまさしく地上から見る雲海で、陰影があり様々な表情をしている
純白の氷河のようにもみえ、北極の上を飛んでいるようにも見える
しかしそれも全天を覆っているわけでなく、遙かに望む切れ目からは、紫苑色の空が見える
蜜柑色の夕焼けが、光線の関係かで空が少し紫がかっているようだ
夕焼けの色は、雲の切れ目を橙色に染める
日が落ちかかっているというのに、あの雲の切れ目から見える空のなんと明るいことだろう
その明るさが、天空全てを照らしている。
地上では目の前に黒く浮かぶ欅の木
既に夜は近い

ゲームオーバー

追記:
文で表現出来るのは、もしかして時なのかもしれない。そんなことを思った。色を表現するのは、味とか音を表現するのと同様に、文章力がない僕にとってはかなり難しい。でも今回はゲームなので、ルール付きだからこんな物でしょう・・・・
(幾つかルールを無視したけど 笑)

ちなみに色はサイト「日本の伝統色」を参考にさせて頂きました。なかなか参考になるサイトです。 さらにこのサイト「日本の伝統色名」もお奨めです。こちらの方はフランスの伝統色も載っていますし、みやすいと思います。

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