外科医マギー(メグ・ライアン)に好意を寄せる天使セス(ニコラス・ケイジ)は、普段は人間の目には見えないが、姿をあらわしマギーの前に登場する。友達となった二人は、市場で買い物を一緒にする。天使は永遠の命を持つ変わりに、美しさとか味覚とか匂いとかの感覚がない。市場で買った洋ナシをマギーが食べるときセスはその味を尋ねる。
セス:「どんな味?言葉で表現してみて、ヘミングウェイみたいに」
マギー:「そうね、この味は・・・・洋ナシの味よ!」
マギー:「あなた知らないの?」
セス:「君の感じ方を知りたい」
マギー:「甘くて・・・
香り高くて・・・
優しく舌の上で溶けていく・・・
雪が淡く消えるように」
マギー:(少し照れながら)「どう?」
セス:(笑みを浮かべ)「完璧だ」
マギーの答える洋ナシの味の言葉が好きだ。仮に洋ナシが映画とか小説などのテクストだったとき、できれば僕はマギーのように答えたいと思う。この説明でセスは洋ナシの味をマギーとほぼ同じに感じる事が出来た。「完璧だ」というセスの表情がそれを物語っていた。
セスは洋ナシの味を知りたいと思っただけではない。それと同時にセスはマギーのことを知りたいと思った。マギーが語る洋ナシの言葉は、マギー自身を語る言葉でもある。だから、味覚を知らないセスはマギーの言葉で洋ナシの味だけでなくマギーのことも知ったのだった。
洋ナシの味は人それぞれによって違う。セスは僕にとって身近にいる人のことでもあると思う。
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