2005/05/08

久しぶりのバイク

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バイクに乗った。久しぶりだった。

最初渋谷のバイク屋で自分のバイクを見たとき、一目でそれだとわかったけど、何か自分のバイクじゃない感じを受けた。何かが違う。側に行ってタンクからシートにかけて触れる。艶やかなメタリックな濃いグリーンのタンク、なめらかな曲線、タンクからシートにかけて流れるライン。タンクに残る細かな数本の線は見覚えのある傷跡だ。シートのほつれから、少し恥ずかしそうに覗く素材。それは紛れもなく僕のバイクでもある。

でもこの違和感は何だろう。以前よりグリーンがくすんだような気がする。以前はもっとエンジン回りがピカピカ光っていたような気がする。
バイク屋からエンジンキーをもらいエンジンを動かす。セルスイッチを入れた瞬間に、まるで疾走前の馬が筋肉を振るわせるように1450ccのV型が2・3回大きく揺れ、地響きのような低音を轟かせた。その感触、身体に伝わる音とエンジンの振動は身に覚えがある。

それは確実に僕のバイクであった。でも実感として目の前にあるバイクは、全体が少しずつずれていた。タンクはタンクとして少しズレ、シートはシートとして少しズレ、その他の箇所もねじ1本に至るまで奇妙なほど同じ分だけズレていた。

多分、久しぶりで慣れない事による感覚的な問題かも知れない。もしくは、数ヶ月の間で、僕の中でバイクのイメージが膨らみ、それと実際のバイクとの間で、少しズレが出たのかも知れない。まぁ、どこにでも良くある話だと、一人合点する。

バイクにまたがる、思った以上にフロントとリアのサスペンションが沈み込む。クラッチを握り、ギアをローに入れる。スコーンと音を立てローになる。半クラッチにしてバイクを少し動かす。良い感じだ。

通りに出て、ローからセカンドにセカンドからサードに、連続してアップする。クラッチとの繋ぎも良い。信号だ、ブレーキをかける。ブレーキのききも遊び具合も悪くない。
徐々に、初め感じた違和感が払拭していく。

246号線は車は多いが流れている。路肩駐車をしている車が怖い。流れに乗りながら慎重に走行する。それでも後方から数台のバイクが僕の横を追い抜く。

総重量300kgの車体は、思った以上に軽い。ロングホールの為、直進性も悪くはない。それ以上にロングストロークのV型オーバーヘッドバルブエンジンが奏でる3拍子の排気音と、シートを通し、もしくはハンドルから伝わる震えが心地よい。

フォーサイクルエンジンなのに3拍子のエンジン。それは一つの、そしてそれぞれのハーレー乗りにとっては、伝説への一つの鍵でもある。(一人泥酔状態)
以前、このバイクで様々な所に行った。風を受けながら、それらの幾つかを思い出す。その時、僕はいつも信号などで止まるたびに、タンクをぽんぽんとたたいた物だった。それは馬の首を触り、感謝を捧げる仕草に似ていた。わざとでなく、自然とそう言う動作をしてしまうのだ。

でもまだそこまでは、関係は戻ってはいない。
人によっては奇異に感じることかも知れない。たかが道具で機械である。その通りであるが、自然と長距離ツーリングするとそう言う気持ちと動作が出てくるのである。機械であっても道具であっても、人はそれらに感謝する事が出来る。そう思う。
家に着く。渋谷からとろとろ走って約30分。再度バイクを眺める。幾分ズレが少なくなったような気がした。

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