先だっての日曜日、僕は渋谷から新宿まで歩いた。途中のフレッシュネスバーガーでオレンジティーを飲む。テラスに座り柑橘系の甘酸っぱい香りを大きく吸い込みながら煙草を吹かす。そして何を考えるまでもなくただ通りを眺める。夜と昼の狭間。境界線など何もなく、しかし確実に夜の予感を感じさせる時間。空は灰色で時折雨が降り落ちる、かといって本降りになる様子もない。風は穏やかで、そのせいかこの景色で感じられるほどは寒くはない。
僕が今この時間にここにいることを家人は知ることはない、とその時に思った。ましてや僕が今何を思っているかも。でもそれは家にいても同じことかもしれない。それに僕自身も家人の心を知るよしもないのだ。それは哀しいことなのだろうかと少し思う。その時、「その時」という言葉を使うこと自体僕にとっては正確ではない。時間は流れていなかったし、仮に流れていたとしても陽のうつろいとは全く別の次元でバラバラのものとしてそれは存在していた。僕は目をつぶる。僕が感じたことは言葉に出来ず、行動したいことに手足は動かず、僕が見たいものはなにも見ることはない、と僕は感じた。虚ろな機械としての身体の牢獄の中で僕はただそこに在るだけだった。
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