ITmedia記事「2004~2005年 いよいよ始まる「番号ポータビリティ」戦争 」を読んだ。とてもまとまっている記事だと思う。各携帯事業者が「番号ポータビリティ」(以下 MNP:Mobile Number Portability)制度を破壊的イノベーションとして捉えている実態がよく見えた。そして各社の対応は以下の記事に良く現れている。
「ドコモのおサイフケータイとauの着うたフルのどちらも、その背景にあるのはMNP対策だ。前者は電子マネーやポイント、電子鍵など実用系サービス、後者はリッチなエンタテイメントコンテンツとアプローチの仕方は異なるが、MNPで移動できないバリューを携帯電話に取り込むことで、ユーザーがキャリア変更しにくくなるようにするのが狙いだ。このような傾向は今後、さらに強くなっていくだろう。」(ITmedia記事より抜粋)
まずMNPは携帯事業者にとって脅威なのだろうか?
少なくともドコモは守りなので脅威に感じているだろう。ボーダーフォンは次なる手が具体的に見えない中で脅威に感じている部分が多いように思える。ただ一社auのみが追撃態勢の中で「脅威」を「ビジネスチャンス」と捉えている様に感じられる。
ただ、ドコモもそうだが、auについても「MNPで移動できないバリューを携帯電話に取り込む」事の具体的なサービスが「おサイフケータイ」と「着うたフル」であるのが個人的には寂しい限りだと思う。
本記事ではすでにARPU向上を目指す戦略は崩れ、今後は成熟した市場の中でシェア取りになると言っているが、果たしてそうなのであろうか。僕は携帯サービスは二極化していくと考えている。それはサービスとして機能のオプション化が進み、そのサービスの中にはARPU向上に役立つものが出てくる。しかし、オプションを利用しない顧客も存在し、それらの顧客は今までどおりに通話・メール・携帯サイト閲覧くらいの利用に落ち着くと思う。それは現行の携帯利用者がほぼ一律に同じサービスを受けている状況とは違う。顧客は自分の生活に合わせてオプションを追加し、そのことでますます携帯はよりパーソナルに向かっていくという考えだ。パーソナルになればなるほど、その携帯を手放しづらくなるのではないかと思う。
auの新携帯端末「W21CA」はブラウザーにOperaを内蔵し、ネットのPCサイトを閲覧できる(PCサイトビューアー)。閲覧するには、EZWINコースに加入する必要があるが、データ通信料は「ダブル定額」の対象外となる。auは新たなARPU向上を目指すためのサービスと考えているのだと思う。ただこのサービスは機能追加の形で各社が追従する事により「MNPで移動できないバリュー」とはなりえない。
「MNPで移動できないバリューを携帯電話に取り込む」事と、そのバリューができれば新たなARPU向上に役立つサービスが、携帯各社が目指すサービスだと思う。僕はそのサービスは、MNPと同時に展開するユビキタス社会での携帯端末の位置づけにより、展開可能だと思っている。具体的にどのようなサービスになるのかは、現時点では僕には不明なので、これはあくまで直感としか言いようがないのだが・・・。ただ、「Home(自宅)情報管理」「個人情報管理」等がネットとの融合により新たなサービス展開が可能ではないかと思っているのだ。
ひところPDAと携帯電話は将来融合するのかといった議論がなされたことがあった。僕の意見は、日本では携帯電話にPDAの諸機能は取り込まれていくと思っている。上記のユビキタスでの携帯の位置づけは、それが最低限の条件となる。
それに僕にとっては本当の携帯事業の戦争はMNPではない。MNPは通過点にしか過ぎないと思っている。MNP直後に新たに参入するソフトバンクの方が、携帯各社にしてみれば、より大きい「脅威」なのではないかと思える。何故なら、以前記事 ので書いたとおりに、ソフトバンクは少なくともドコモとauより先のビジョンを持っている事と、通信事業者の常識にとらわれないビジネスモデルを構築することができるからだ。
少なくとも、「おサイフケータイ」と「着うたフル」だけで迎え討とうとすれば、返り討ちになるだけのような気がしている。勿論、これらの記事が僕の予測にしか過ぎない事は十分承知はしている。
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