2004/12/05

朝日新聞のコピーコントロールCD総括記事


asahi.comの記事「コピーコントロールCDを徹底的に総括する 」を読んで、あらためて音楽著作権協会と利用者およびアーティスト達との溝の大きさ深さに驚いた。

今秋にエイベックスがCCCD(コピーコントロールCD)の適用の大幅縮小、ソニー・ミュージックエンタティメントが全面撤退を表明したが、その時のエイベックスのコメントは僕にとっては迷セリフだったので良く覚えている。思わず笑った方も多かったのでないかと思う。

「ユーザーに著作権意識を根付かせることができたため」

著作権とは、芸術家達の創作意欲を高めるために発生した権利だと思う。彼らが安心して創作活動を行えるように環境整備する事が目的なのだ。でも今回のCCCD導入で僕がエイベックス等に受ける印象は、音楽業界の権益を守る為の著作権、でしかなかった。
権益を守るためであれば、アーティストが苦心して創造した音楽の品質を落とすことも、彼らにとっては当然の行為だったのだろう。

記事にあるが、この件で一番被害を被ったのがアーティストとのことである。理由は記事を整理すると、音質が悪くなる、ファンからの音質低下苦情の対応に時間がとられ心身共に創作活動が出来ない、ユーザがCCCDであれば購入しなくなった。

ユーザに著作権意識を根付かせる為に、アーティストが一番被害を被ったとは、笑えない話だと思う。

CCCDから普通のCDに戻すには、その為のコストがかかる。さらにCCCDはコピープロテクト技術のライセンス料も当該権利所持会社に支払ってい るので、簡単には一度作成したCCCDを普通のCDには戻せないらしい。もしかすると、今回のCCCDにおいて、一番利益を上げたのはコピープロテクトの ライセンス所持会社なのではと思ってしまう。

勿論、音楽業界に携わる方々の生活も守る必要があるが、CCCDは方向を見誤っているとしか思えなかった。iPod等のハードディスクタイプの携帯 音楽プレイヤーに例えることもなく、人の音楽を楽しむ仕方は新たな技術の提供により変遷してきている。そして現在はネットの普及によるネット利用の抵抗感 が薄くなってきつつある中で、日本でも大きく音楽業界が取り巻く状況が変わってきているのは事実だと思う。逆に言えば、積極的に音楽業界は自らの体質を変 えることが出来るチャンスでもあると思う。そして変わる事で、勿論変わり方にもよるが、新たな利益を音楽業界が得ることが出来るように思える。そして、こ の件に関して遅いと言うことはないとも思う。理由はどうあれ、CCCDの撤廃に動いているのだから、僕も少しは期待を持って見ている。

ちなみに溝の深さと大きさに驚いた内容は、asahi.comの記事にあった以下の事実だった。
「例えば02年9月の文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会で、当時の高杉健二委員(日本レコード協会法務部長代理)は「コピーコントロール回避助長を専ら目的とする情報を公衆に提供する行為の法的規制」を提案した。」
この法案は「言論の自由との関係で導入は見送られたが、同様の主張はその後も絶えない」との事であったが、提案の具体的な内容は不明だが、巡り巡って自分の首を絞める可能性もある様に思えて仕方がない。

画像はasahi.comの記事から

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