「クローン人間の禁止宣言を賛成多数で採択、国連総会
国連──国連総会は8日、人間のクローンを禁止する宣言を加盟191カ国のうち、賛成84、反対34、棄権37の賛成多数で採択した。医療目的のヒトクローン胚(はい)から胚性幹細胞(ES細胞)作成も、認めない内容。クローン胚作成に反対する米ブッシュ政権が後押しし、ローマ・カトリック教会の勢力が強いイタリアや中南米各国が賛成に回った。」
(CNNーJAPAN からの引用)
周知の通りに、クローン技術には、受精後発生初期の細胞を使う方法と、成体の体細胞を使う方法がある。受精後発生初期の細胞を使う方法が胚性幹細胞(ES細胞)作成と言われている。今回の国連総会ではこの両者の禁止宣言を拘束力はないが採択したことになる。
クローンと言っても、人のクローンを誕生させることではない。その可能性は否定できないが、僕にとっては仮にクローンが誕生すれば、それはやっぱり人だと思う。誕生させた人は、その命に責任を持たなくてはならなくなる。そう言うことを、望む人でない限り、誰も人のクローンを誕生させたりはしないと思うのだ。勿論、人のクローンにおいては、その他に倫理面で様々な問題が指摘されている。それらの問題の解決がある程度目処が立たない限り、人のクローンは行うべきではないとは思う。
今回、国連総会で賛成と反対にわかれ議論を戦わせたのは、この宣言にES細胞を含めるか否かだった。ES細胞の場合、そのままでは人にはならない。つまりクローン人間を作るために使われるわけではない。おもに医療面での応用が期待されている。例えばアルツハイマー治療、がん治療、不妊症治療、移植用臓器の製造、医薬品への利用らしい。これらはもちろん理論、研究、技術面で未解決の課題が殆どで、現行では始まったばかりの研究と捉えて良いと思う。
問題なのは、現行の技術ではES細胞を取り出すには、ヒト胚等を壊して取り出す必要があるということだろう。この点が禁止宣言賛成派の「人の命を奪う行為」と言われる所以だと思う。勿論、ES細胞にはこのほかにも様々な未解決な問題もある。ただ、それらはいずれ技術的には解決できる話であるのは、これまでの人類の歴史をみれば明らかだと思う。
今回、禁止宣言に賛成した国は、「人の命の尊厳」を題目にしているが、それが宗教上の理由から来ているように思える。CNNの記事にもあるように、ローマカトリック教会の影響力が強い国々が賛成に回っていることからもその様に見える。米国大統領ブッシュ氏の場合は米国の支持基盤を考えれば賛成に回ることは容易に想像できる。
ただ、人は科学・技術面で目の前に進むべき何かがあると、それに向かって行くものだと思う。現代においてそれを止めることは難しいのではないだろうか。禁止宣言反対派が拘束力がないことを理由に、さらに研究を進め、賛成派の国々との技術格差が広がったとき、さらにその研究が利益を生む市場性があるとわかったとき、賛成派はその時どうするのだろう。
しかし、問題を多く抱え込むのは、反対派の国々(日本)であることは間違いない。現在の所、研究開発フェーズがメインであるので、問題は研究運用レベルのままだが、実用段階レベルに近づいたとき、様々な解決すべき問題が具体化することになる。それらの問題は、多分、今の社会システムでは対応しきれない問題も出てくる可能性が高いと想像する。それらにたいし、従前の仕方に乗っ取った手順で進めることになるとは思うが、できるだけ透明性を高めて欲しい。さらに、広く国民に意見を求め、それがしっかりとした意見であれば、検討することも考えて欲しい。
すこし舌足らずの記事になってしまった。本当は思うことは色々とあるが、どちらかというとそれらの意見はきわめて主観が強い意見(この記事の内容もそうだとは思うが・・・)なので、別途機会を見て記事にしたい。
クローン関係参考サイト
「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する 基本的考え方」
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