図書館に行く道程に高圧電線の鉄塔が立っている。
見慣れている風景。
このまま電線は公園を抜ける。
ただ僕はこの高圧電線がどこから来て何処に向かうのかを知らない。
疑問に思ったこともない。
見慣れた風景の中に埋没する素朴な疑問。
この鉄塔も住宅も、そして眼前の空き地も全て人が造った物。
それを覆うかのような黒い雲が低くせまる。
一抹の不安。
先ほどまで明るい光の中にあった家が、闇の中にとけ込む。
昼と夜の狭間は表象として存在しない。
昼は夜があり区別され、夜は昼により区別され、
その線引きは曖昧故に個人に委ねられる。
でも狭間は昼から夜への時間の流れの中に、
僕の中では確かにある。
最初に僕らが住む地表が闇に閉ざされる。
薄闇の中で、天空の蒼さを僕らは仰ぎ見、
夜の到来を不安、期待、焦り、安らぎの中で待つのだ。
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