「トイレットペーパーで読書できます――。東京都千代田区の出版社がトイレットペーパーの本を売り出し中だ。「トイレットブック」といい、アーティストの荒川修作さんと、妻で詩人のマドリン・ギンズさんによる哲学書「建築する身体」の要約が繰り返し印刷されている。」(朝日新聞から引用)昔は母から、トイレに入っているときに地震にあったら、その場を動かないようにと言われたことがある。理由は簡単で、家の構造の中でトイレが一番頑強だからだそうだ。ただ、その話を聞いたとき、動きたくても動けないでしょ、と腹の中では思っていたのは言うまでもない。
でも、その様な目でトイレを見てみると、確かに狭い空間に柱が4本でしっかり作られていそうだし、なにより水も補給できる。そのうえトイレットペーパーが書籍だったら鬼に金棒かもしれない。そんなことを、この記事を読んで妙に感心し、一人でうなってしまった。
幼い頃、家のトイレはくみ取り式だった。このくみ取り式のトイレというのは、案外怖いものだ。学校の怪談を例にするまでもなく、何かがトイレの下にいそうな気がするし、少し冷気も来ることもあり、子供の時分は長くトイレにいることが出来なかった。
そのころ生家は、大学が近いこともあり下宿屋を営んでいた。1階は僕ら家族の部屋で、2階が6部屋に区切られていて、6人の学生がそこに住んでいた。下宿屋だから、当然に賄い付きで、朝食と夕食は毎日大家族さながらに食事をしていた記憶がある。
6人もいれば、そこに当然にボス的な奴が出てくるし、そこに小さいとはいえボスを中心とした共同体が作られる。勿論、一緒に暮らしているせいか、共同体と言っても、ぎすぎすとした感じは全くなく、自由でみんなはとても仲が良かった。
2階の一番奥には下宿人用のトイレがあるが、そのトイレがまた異様に臭った。土管で1階のトイレに繋がっているせいか、臭気が2階に上がってくる。しかも喚起は当然にない。だから、2階のトイレは、怖さ以上に臭さで、多分5分も中にはいられない環境だった。特に夏が輪をかけて凄かった。
2階の下宿人達は、時折賭け事をしていた。一時の暇つぶし程度の賭け事で、勝てばタバコかコーヒーをおごるくらいだと思う。でも一番負けた人の運命はいつも決まっていた。そう、ご想像の通りに2階のトイレに5分?10分間の監禁だった。これを決めたのは、やはり遊びとはいえ、真剣さを出すためのボスの采配だったと思う。確かにこれは効果があったようだ。勿論子供だった僕は、後から聞いた話だけど、何でも遊びにしてしまう彼らが面白く思えたものだった。
くみ取り式から水洗に変わることで、トイレに対するイメージは本当に変わったと思う。第一怖さが無くなったし、明るくなった。さらにウォシュレットなどの装備で、冬でも暖かい。そうなると、自然にトイレに長居をするようになる。棚には色々な置物を置き、トイレで読むための書籍とか漫画をおくようにもなる。
でも考えてみれば、今回朝日新聞で紹介している本は、トイレットペーパーに印刷しているということだから、勿論使い道は決まっている。これって反発する人もいるような気がする。さらに、今回は要約と言うことだけど、もしその本を気に入ったら、どうすればいいのだろう?別途購入できればいいけど、既に絶版している書籍だったら、やはりトイレットペーパーのまま本棚に置くのだろうか・・・
書籍の場合、一度読んでしまえば何回も読まなくなると思うので、段々と売れなくなっていく様にも思える。
そうか、連載物にすれば良いんだ。トイレットペーパーだから、それこそ一巻目、二巻目と語呂も丁度良い。そうすれば、続きが読みたくて売れ続けるに違いない。
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