2005/04/06

死ぬまで挑戦し続ける能力が人間にはあることを、若い学生に伝えたい

庭子の部屋」の庭子さんが母校である常葉学園大学構内にコンビニエンスストアを開業した。
大学側からの要請に1年間悩まれ、「学生の応援になるなら」と引き受けたとのこと。
庭子さんの思いが学生の皆さんに伝わることを切に祈ります。

以下は2005年4月6日静岡版朝刊からの全文掲載です。朝日新聞には現在掲載許可を打診中です。不許可の場合は、若干の削除を行い、引用の形に改めることになります。記事の著作権は朝日新聞が所有しております。

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ノウハウないけど なんとかなるわョ
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買い物に来た学生と談笑する池田庭子さん(中央)=常葉学園大学構内の「ヤマザキショップたぬき村」で

自然体験施設「たぬき村」の池田さん
「生涯学習」コンビニ開業

生涯学習について学び、55歳で常葉学園大学(静岡市葵区瀬名)を卒業した池田庭子さん(58)=葵区東鷹匠町=が、母校の構内でコンビニエンスストアを開店した。借金数百万円、経営ノウハウもないけれど、「死ぬまで挑戦し続ける能力が人間にはあることを、若い学生に伝えたい」と話している。

池田さんは3年前に同大教育学部生涯学習科を卒業。「ヤマザキショップたぬき村」を4月1日にオープンした。

実践的な社会教育活動の必要を学んだ在学中、同級生約20人と準備を進め、02年7月、同市葵区栃沢の古民家を無償で借り受け、自然体験施設を造った。子どもたちに「生きる力」をつけさせる試みだった。ギシギシと床が鳴る約100年前の木造平屋には、五右衛門風呂や囲炉裏などがあり、ガスもテレビもない時代の生活を体験できる。土日には宿泊体験も可能で、「たぬき村」と名付けた。

「コンビニをやってもらえないか」。昨年2月、同大の木宮岳志事務局長(53)に、学内コンビニの話を持ちかけられた。同大にあった購買所は品ぞろえの少なさ、値段の高さで学生から不満が出ていた。木宮事務局長は「普通のコンビニにはしたくなかった。学生が主体的に運営にかかわる店にするため、学生の受け皿になれる人を探していた」。たぬき村の活動を評価して、池田さんに白羽の矢が立った。

池田さんは1年近く悩んだ末、「学生の応援になるなら」と引き受けた。自己資金も担保にする資産もなく、信用保証協会の保証付で銀行から借金した。

学内に競争相手はいないが、経営上の心配はある。学外の店舗に比べると、学生が購入する単価は低い。24時間、店を開けることもできない。1年のうち4カ月間は大学は休みになる。

それでも「わくわくしています」と心配より期待の方が大きいらしい。

約1700種類の品物が並ぶ70平方メートルの店内。入ってくる学生に、和服姿の池田さんが「私もここで学んだのよ」と声をかけた。そこから話が弾む。

ただ品物を買うだけの場所ではなく、学生の気持ちを受け止める場所にしたいと言う。
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2005年4月11日 中日新聞 静岡版から
(以下の記事の著作権は中日新聞が所有しています)
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仕事通し社会活動体験 常葉学園大『学生コンビニ』開店
静岡市葵区瀬名一丁目の常葉学園大学内に学生らが運営するコンビニエンスストア「Yショップ常葉学園たぬき村店」ができ、十一日、開店式が開かれた。店では起業の方法を学んだり、仕事を体験したりするほか、きちんとあいさつができるような教育活動にも生かす。

店はNPO法人「とこは生涯学習支援センター」(池田庭子理事長)が同大学の要請を受けて設置した。四十人いるセンターの「学生部員」らが商品選びや仕入れを担当、一般学生らはアルバイト店員として働く。

同センターは三年前、小学生らの健全育成を進めるため、静岡市葵区栃沢の古民家を修復して拠点とし「たぬき村」と名付けた。かまどがある土間や「五右衛門風呂」を生かした生活体験などを実施している。コンビニの店名も、修復民家の名前にちなんだ。

同センターの活動計画づくりは、教師を目指す学生部員らも担っているが、池田理事長は「大学生自身も野外活動などの体験に乏しい。コミュニケーションが下手と感じてきた」という。このため「コンビニでの活動で人とのかかわりを学んでほしい」と開店に踏み切った。

リーダーの一人で三年の土屋貴志さんは「ニーズを把握して商品ロスがないようにしたい。大学が各種行事で弁当を頼む時は注文がくるように営業したい」と話した。 (松本利幸)
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2005年4月11日 静岡新聞 地域版
(以下の記事の著作権は静岡新聞が所有しています)
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“学生コンビニ”開店 仕入れや人件費計算も担当 葵区・常葉大

社会人のマナー学ぶ
学生が運営に携わるコンビニ「Yショップたぬき村」が11日、静岡市葵区瀬名の常葉大にオープンした。経営は教育学部生涯学習学科の学生有志でつくるNPO「とこは生涯学習支援センター」。同センターの池田庭子理事長(58)は「客商売を通し、社会人のマナーやコミュニケーションの方法などを学んでほしい」と話している。

今月、造形学部が同区の校舎に移転して新館が建設されたのに伴い、ミニコンビニ「Yショップ」を全国展開している山崎製パン(東京都)が学内にコンビニを設置することを申請。同市葵区栃沢に遊び場「たぬき村」を運営している同NPOに運営を依頼した。
池田さんは「経験がないのに経営できるのかどうか、不安だった」と振り返るが、学生の就労支援の絶好の機会と考えて承諾したという。
人件費の計算や売り上げ目標の設定、商品の仕入れなどはすべて学生が担当する。教育学部初等教育学科3年の都築直美さん(21)は「コンビニ運営も教師の仕事も客や保護者と信頼関係を築くという点では同じ」と意欲を燃やしている。
この日、同店前で行った記念式典には木宮和彦学園長らが出席し、テープカットをしたほか、「たぬき村」の運営に協力している地元の茶生産者4人がお祝いに駆け付け、栃沢産のお茶を無料で振る舞った。
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