2005/04/09

ククイオロノ・カクテルの作り方

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目黒区図書館の検索システムでリンドバーグ関連の書籍を検索したらヒットした「神々のハワイ」。リンドバーグはハワイを愛していたと聞いていたし、かれの墓は実際にハワイ諸島にあるので、リンドバーグのハワイでの姿が書き記されているのではないかと期待して読んだが、最後までリンドバーグは登場してこなかった・・・

ハワイ(オアフ島)に生まれ育った白人女性が1960年代頃の思い出を綴っている(16章「楽園」)。とても自然な文体で、当時の彼女の心情が、何のてらいもなく記されているのが逆に好感を持った。
『プナホウからかなり離れたところにあるカメハメハ・スクールは、わたしたちには憧れの学校だった。この学校は19世紀に、ビショップ・エステート財団によってハワイ人の血を引く子供のために創設された。カメハメハ・スクールの少年たちはみな美男子で、おいそれとは近づけないような、なんともいえない雰囲気を漂わせ、たくましい体はまぶしいようだった。白人の女の子には禁じられ何一つ知らされていない性のことに通じているのだろうと、わたしたちは想像した。繊細で美しいせいだったかもしれないけど、それよりも褐色の肌のハンサムだったからだろう。わたしたちはハワイ人をやみくもに仰ぎみていた。』
彼女たちが使っていたローカル英語がおもしろい。ピジン英語という。幾つか例が載っていた。

バブーズ(babooze):ばか、バンブチャ(bambucha):乳房、バムバイ(bumbye):あとで、コッカローチ(cockaroach):盗む、ダイコンレッグ(daikon-leg):白く太く短い足(大根足)、ファット(fut):おなら、ギリギリ(giri-giri):逆毛、ジャムアップ(jam-up):めちゃめちゃにする、モケ(moke):地元の少年、シャカ(shaka):こんにちは(親指と小指を立てていう)、シシ(shi-shi):おしっこ、スティンクイヤー(stink-ear):悪口や悪評ばかりに耳を傾けること、ティタ(tita):地元の少女もしくはおばさん、ワヒネシック(wahine-sick):性病、ゾリ(zori):ゴム草履(ちなみに厚底はカマボコフリップ)

さすがに様々な国の言葉が混じっている。気になったのは、性病のワヒネシック。ワヒネシックは昔農園で使われていた言葉がそのままピジン英語になったと書いてあったが、ワヒネとはハワイ語で「女、妻」の事だ。農園とはパイナップルかサトウキビかもしれない、だとするとそこで働いた移民たち、日本を含むアジア系女性への差別意識がそこにあるかもしれない。
この書籍で参考になり、今度作ってみようと思ったのが、ククイオロノ・カクテル。レシピが載っていたのでメモしておく。ちなみにククイオロノとはカウアイ島にある丘の名前。意味は「ロノ神の蝋燭」

ククイオロノ・カクテルの作り方
ジン1に対して
ピーチまたはリリコイの生ジュースを2の割合
砂糖 好みの量
ビター 1ダッシュ(ひとふり程度)
オレンジジュース こさじ1
材料をあわせ、氷を入れてよくシェイクする。
リリコイとはパッションフルーツのこと。

スザンナ・ムーアーが本書を通じて語りたかったことは、ハワイ人が数的に少なくなってもなお存在する神話のことだった。例えばナイトマーチャーのこと、彼らは山から一直線で海まで歩き続ける。
『ナイト・マーチャーがやってきそうな夜は、通り抜けやすいように表玄関と裏口のドアを明けておくのがよい』(1章「死者の夜行」)
トーテニズムは社会でなく「場」にも関係するのだろうか、などと愚考する。
ところで、「神々の島」から離れるが、リンドバーグの墓碑はキパフルというマウイ島の奥地の小さな教会にある。墓碑には聖書の詩篇139からの引用句が刻まれている。

「曙の翼を駆って海のかなたに行き着こうとも あなたはそこで御手にてわれを導き右の手でわたしを支えてくださる・・・」

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