2005/01/05

発信者番号改ざんに見る怖さ

200501058a4c5ff8.JPG米国ではいま「発信者番号改ざん表示」の電話サービスが話題を呼んでいるらしい。日経ビジネス「Associe」(01.18号)に少し載っていたので、本ブログにて要点を述べる。

a)ことの起こりは2004年9月に新興企業「スター38」が開始した「発信者番号改ざんサービス」
b)このサービスは、実際とは異なる番号と名前を発信元として相手の電話に表示できるサービス
c)同社では、債権回収業者・調査会社・警察に限定し、利用者の身元確認を行うことで悪用を防ぐつもりだった
d)しかし、消費者・学識者・プライバシー保護団体から「受信者のプライバシーを侵害する」として非難を受けた結果、サービス開始後3日間でサービス停止し、会社もなくなった。
e)しかし、その後「カモフォーン」と名乗る第二の提供会社が登場する。カモフォーンはスター38とまったく同じ内容のサービスを提供した。
f)カモフォーンの場合は、スター38が提供するサービスより、さっらに簡単に利用できるシステムを持っていた。しかも誰でもお金さえ払えば利用できる。
g)このサービスがマスコミ報道されると、このサービスを利用した「番号改ざんサービス」を提供する会社まで現れた。
h)現状で米国の法律ではこのサービスを取り締まることが難しい。

怖い話だと思う。記事ではそもそも「番号表示機能」も「発信者のプライバシーを侵害する」観点から「発信者の非表示機能」を設けた経緯があり、その発信者と着信者の均衡が崩れてしまったと言っている。

確かにそのとおりだと思うが、僕にとっては電話の世界では常に着信者(電話を受ける人)の生活を無視してきていると思っている。電話をかける方(発信者)は自分の都合で電話をかけられるが、受ける方はそんな準備など出来ていないのが普通だと思う。そもそも不公平なのではないだろうか。
その不公平さの中で、発信者番号通知は電話に出るときの事前準備として十分に役に立っている。孫子の兵法で言えば、「相手を知り己を知れば」という事であろうか。

「着信者番号」が改ざんされて表示されるとなれば、これは社会に与える影響は極めて大きい。米国の事だからと言ってはいられないことだと思う。なにしろ電話もインターネットと同様に世界中に繋がっているのである。特に日本では「おれおれ詐欺」が横行している。彼ら詐欺師がこのサービスを使わないわけがない。また迷惑電話もかけ放題、ストーカーからの電話も止められない。

このサービスの利用方法を少し考えるが、どうもまともなサービスは思いつかない。嫌な相手からの着信拒否も出来なくなるのだから、当然にこのサービスを利用する人は、電話先の相手にとって嫌な奴という事になる。嫌な奴の中には犯罪者もいて、彼らにとっては法律は関係ない話だろう。

このサービスを利用した電話が日本にもかかって来たとき、もしくは日本でも誰かがこのサービスを開始したとき、僕らに出来ることは一切発信者番号表示を信用しないことに尽きるかもしれない。
こうやって一つのサービスが終わり、その結果「発信者番号改ざんサービス」も意味を成さなくなっていくような気がする。その前に法の整備と同様に、技術的な対応も考えて欲しいと願う。

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