2004/10/14
EZ「着うたフル」 ケータイが音楽プレーヤーに
KDDIは2004年11月下旬から音楽配信サービス EZ「着うたフル」を開始すると発表した。「着うたフル」のサービスは、1楽曲を全てダウンロードする配信サービスで、「HE AAC」コーディックでの高音質楽曲を1曲数百円で提供するというもの。またこのサービスに対応した新携帯電話を4機種発売する。
同様にKDDIはこのサービスに対応した携帯向け音楽ポータルサイト「EZ Music!」を新たに立ち上げる。このサイト では「着うたフル」の楽曲販売(現在提供している「EZ FM」と連携しての購入も可能)と共に通信会社として初めて通常の音楽CDも販売するとの事だった。
詳細はKDDIニュースリリース参照
本サービスが同社が提供する最大2.4Mbpsの通信速度とパケット通信料定額サービス「ダブル定額」を前提にしているのは間違いない。同社にとって本サー ビスがキラーサービスになり得るかは現時点ではわからないけど、僕はこのサービスが成功して欲しいと願っている。それは別の見方をすれば、この試験的?な サービスの成否で今後のモバイル音楽の展開が左右されると考えるからだ。勿論ユーザの立場から言えば成否に関係なくサービスの選択肢が増える事は嬉しい事 だ、でも多くのユーザに支持されるかは現段階で未知数である事は間違いない。
今回のKDDI発表を見れば、同社はAPPLE社が運営し成功 している「iTunes Music Store 」と「iPod」を意識していると思われる。「iTunes Music Store 」は「EZ Music!」であり、「au携帯端末」が「iPod」という図式が出来上がる。KDDIの小野寺正社長は、「日本もiPodのおかげで音楽配信サービス 市場が拡大しつつある」と述べ「iPod」を意識している事がわかる。確かに米国ではこのAPPLEのビジネスモデルは成功した。
KDDI側が述べるには、今回のサービスは携帯に直接配信する事で顧客の利便性は増したとなっている。つまり「iPod」の様にPCが仲介する必要 がない事を言っているのだと思う。でも僕の考えは違う、時としてPCの仲介も必要な時があるのだと思う、レンタルCD業界がうまく機能している日本では特 にそう思う。iPodMiniが「iTunes Music Store 」提供を行っていない日本で好評を得た理由は端的にそれを物語っていると思う。人は自分が買った音楽を自由に色々な環境と道具で聞きたいものなのだ。
「EZ Music!」では購入した楽曲を外部大容量メモリーに格納する事が出来るとなっているが、一般に使用する外部メモリーの容量はせいぜい256MBだと思 う。つまり外部メモリーに格納できる楽曲は100曲未満だと思う。この100曲は「EZ Music!」で購入する曲数としては多いと思うが、仮に何らかの方法で購入したCDをその外部メモリーに格納することが出来る場合、個人的には何か物足 りない。その為に外部メモリーを新たに購入する事になると思うけど、外部メモリーは高価だ。
今回著作権保護技術を何を使うかわからないけど、発表によれば購入した携帯端末でしか聞く事は出来ないらしい。また別途PC等を使って個人が貯めた音楽データを携帯端末側(もしくは外部メモリー)に転送して聞く事が出来るのかは明らかになっていない。
仮に携帯端末が故障もしくは買い換えた時、購入した楽曲の保証はされるかも気になるところだが、その点も明らかになっていない。
色々と脈略もなく書いてしまったけど、僕が考えるサービス成功の為の条件を書くとすれば以下の感じになると思う。
・ポータル音楽サイトで提供する音楽はCDSで販売している曲だけでなく、CDの中の一曲も行う。(CDレンタル利用者の取り込み)
・楽曲数は少なくともApple提供と同程度。
・1曲は100円程度(Appleの1曲99セントの感覚は日本では100円から120円くらいの感覚に近いと思う)
・PCに楽曲のバックアップを可能とする。
・PCでフォーマットした楽曲データを携帯端末(もしくは外部メモリー)に格納し聞けるようにする。(EZ Music!で購入したCDをau端末でも聞ける様にするのは自然だと思う。)
・出来れば携帯側で聞けるフォーマットは「HE AAC」以外に「MP3」も対応して欲しい。
・音楽を聴いている時に着信があったとき、設定で一旦音楽が停止し着信終了後に自動再開することが出来る。勿論ヘッドホン着装しているときはヘッドホンを通して着信がわかるようにする。
・携帯で一般利用しても2時間位は音楽が聴けるようにする。
こ のサービスがビジネス的に成功するか否かは通信会社だけの問題ではないと思う。携帯メーカの努力もあるだろう。でも最もキーとなる業界は音楽業界だと思 う。Appleが成功した理由で最も大きいのは、制限のやや緩い著作保護システム(デジタル権利管理システム)と安い著作権料で5大メジャーレーベルと契 約成立が出来た事だと思うからだ。
日本と米国では音楽業界の考え方も背景も違うと思う。コピープロテクトCDの順次撤廃を行う事を決めるなど、徐々に変化は見られるが、ネット配信の広がりの為にはさらに踏み込んだ変化と対応が必要に思える。
個人的な感想をいえば、多分携帯のみを利用対象とした今回の音楽配信サービスは成功が難しいと思っている。でも、その中でKDDIがどのようなアイデアで対応していくのかは大いに期待している。冒頭に言ったように、僕はこのサービスが成功して欲しいと願っているのだ。
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