2004/11/14

山下さんの「ウェブログの心理学」を読んで

専修大学の山下清美さんの「ウェブログの心理学」(2004年7月19日)を最近読んだ。この資料の目的は山下さんの研究紹介と今後の展望を書かれ ているので、特にこれといった内容はない。ただ、心理学の立場からのウェブログ研究は例が少ないこともあり、少し個人的に注目している。

今回遅ればせながら読んでみて、研究紹介資料とはいえ研究の進め方と今後の展望の中で幾つか気になる点があったので、簡単に記したいと思う。

1.ウェブ日記からウェブログへの変遷において、ウェブ日記が何故日本に登場し流行したかの考察が少ないように感じた。その考察があって、その後のウェブログの流入による新規利用者とウェブ日記からの転入の違いが見えてくるように思える。

2. 基本的に本資料ではウェブ日記とウェブログを同等に扱っている。しかし、ウェブログには人間指向と情報指向の2つの指向があることもあげられている。ウェ ブログはウェブ日記に較べるとコミュニケーション機能が多い中で情報指向性はどの様な意味を持つのか踏み込んだ解釈を期待したい。本資料ではウェブ日記に も各種ツールを使うことでウェブログと同等の機能を持つことが示唆されてはいるが、殆どの利用者は与えられている機能の中での利用と考えられるので、機能 面からは同等とは言い難いと思われる。

3.情報指向性の踏み込んだ解釈としては、今後の展開の中に一語書かれている「知識創発」のツールとしての研究がそれに該当すると思われるが、それ がウェブ日記等の4つのカテゴリのどれに属するのか少し不明瞭でもあるように思える。個人的な意見では日記の4つのカテゴリ分けに「知識創発」は縦横とも その中間に属するように思えるがどうだろうか。

4.日記療法に関して言えば、最近英国の心理学会で逆の報告もされていると聞いている。その点における立場の明確化も今後行って欲しいと思う。

いずれにせよ、今回紹介内容に較べ、思いつくまま書かれたとの事だが、今後の展開内容には多くの興味が持てる項目があるので、研究成果がどの様な形になるか今のところ不明ではあるが、今後も注目していきたいと思っている。

多 分上記の資料のようにグルーピングされることに抵抗をもたれる方も多いとは思う。実は僕もその中の一人でもある。それにグルーピングされ解釈される事に何 の意味があるのかと思われる方もいると思う。僕は心理学者でもないので、それに対する回答は持ってないが、メディア面とビジネス面にそれらの成果が利用さ れているのは確かだと思っている。個人的には、その成果からより優れたウェブログの機能もしくは利便性の高いマンマシンインターフェースが導かれることを 期待している。

今回参照した資料は山下さんのサイトから得ることが出来る。

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