ロシア大統領府は5日、地球温暖化の防止を目指す京都議定書の批准案にプーチン大統領が署名したと発表した。これでロシアのきょう批准手続きは完了し、京都議定書は来年2月上旬にも発効する見通しとなった。 (NIKKEI-NETより)
ロシアが京都議定書の批准に決定したのは喜ばしいことだ。米国が議定書から離脱しているので、ロシアの批准決定が発効の条件だったからだ。
と ころで京都議定書は地球温暖化防止の取り組みとして温室効果ガス(GHG)の削減を具体的な数値で約束として取り交わしたものであるが、削減義務があるの は先進国だけとなっている。途上国には削減義務はなく、それを不服とした米国が議定書から離脱した。途上国の中で温室効果ガスを最も多く出す国は中国で、 先進国も含めても米国に次ぐ2位となっている。ただし国民一人あたりにすれば、日本は中国の3倍はある。
米国が途上国(特に中国)の削減 義務がないことに異論を唱える気持ちはわからなくもないが、世界最大の温室効果ガス産出国が議定書から離脱したことは残念な事だと思う。米国の離脱で議定 書の効果を疑問視する声もある、しかしだからといって何もしないよりは遙かによいと思う。それに今回は第一次(2008?2012)なので、2012年以 降に途上国を含めての協議に米国も交え、京都議定書より優れた防止策を発効して欲しいと願う。
京都議定書には「京都メカニズム」 と呼ばれる仕組みがある。つまり各国間で温室効果ガス削減量をやりとりすることが出来る仕組みだ。この考え方は非常に有効だと思う。また中国を含む途上国 の参加を先送りにした事も議定書の批准には現実的な対応だったと考える。これらで京都議定書は、米国が離脱したけど発効が可能となった。それにしても議定 書批准の事を見ても、つくづく国際政治とは難しいと思う。総論では、全ての国の人達は地球温暖化対策はやるべきと考えているに違いないというのに。
「見えない経済の三層構造」という考え方がある。経済を「成熟した経済」「発展途上の経済」「生存ぎりぎりの経済」の三つに分け、それぞれの今後の方向を示唆する考え方だ。
「成熟した経済」は主に先進国の姿であり、大量生産と大量消費社会を前提とし、購買力も高い約10億人の人がそれに該当する。
「発展途上の経済」は途上国の事であり、急速な工業化と都市化が進む中、生活に基本的なニーズは満たされているものの最低限の購買力しかもたない約20億人がそれに該当する。
「生存ぎりぎりの経済」とは基本的なインフラが整備されてなく、その日の生存にさえ脅かされる約30億人の人がそれに該当する。
こ の「見えない経済の三層構造」を温室効果ガス削減に置き換えて考えてみると、「成熟した経済」では大量の原料とエネルギーを必要とし、それの廃棄物も膨大 となる。従来のビジネスモデルによる経済となるので、新技術もしくは技術の改良等の現行の考え方の延長線上で削減は出来ると考える。
「発展 途上の経済」は「成熟した経済」をモデリングしてそれを継承している。しかしながら、「発展途上の経済」が「成熟した経済」と同様になった場合、地球の環 境は即座に破壊されてしまうだろう。でも彼らは地球環境の破壊は勿論望んでいないが、成熟した経済は当然に望み、それに向かって速い動きで変化している。 多分、そこに必要なのは全く新しいビジネスモデルだと思う。
新しいビジネスモデルに間違いなく言えることは「成熟した経済」のモデリングは 通用しないと言うことだと思う。ただ、途上国を含めて納得できるモデルを作ることは本当に難しいことだろう。最近そのモデルとして、トリプルベースライン というフレームワークが知られているが、途上国も含めて有効であるかは未知数だ。ただ、グローバル企業が途上国で行うことについては効果は大きいと思う。
「生存ぎりぎりの経済」は環境問題を意識することなく基本的なインフラを含め充足していくべきだろう。
発 展途上の経済の中で、特に注目すべき国は中国とインドの2カ国だと思う。この2カ国は2012年までには温室効果ガスの排出は相当な量にまで行っているは ずだ。そして、それらの多くは先進国相手のビジネスの為の排出だと想像できる。日本は環境に対する技術力が高い国でもある。まずは議定書でも有効な「ク リーン開発メカニズム」での効果を期待できると思う。
・平成16年度 環境白書
・環境省公式サイト
蛇足:トリプルベースラインを基にしたビジネスモデルについては個人的興味から何回かMEMOにするつもりです。
ちなみに対象となっている温室効果ガスとは、二酸化炭素、亜酸化窒素、代替フラン3種の計6種のことを言う。
画像は地球環境問題の関連性について(平成13年度 環境白書より)
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