2005/02/04

データ改ざん十数年間 「大した問題でない」

「鉄鋼大手のJFEスチールの東日本製鉄所千葉地区(千葉市中央区)で、自社データを改ざんし、国の基準を超える有害物質を含んだ汚水を海に排出していた問題で、改ざんは担当者により、少なくとも十数年間続けられていたことが分かった。担当者の男性(38)は社内調査に「データの改ざんは大した問題ではないと思った」と話しているという。」(毎日新聞から引用
「大した問題」が「大した問題でない」に変換された理由と時期を考えなくてはならないように思う。JEFでは今回の問題を担当者個人の問題と考えている様だ。でも問題の根はそんなに単純ではないように思えて致し方ない。

十数年間改ざんが行われたと言うことは、担当者がその期間中に数人変わったと言うことだろう。その数人が、同じ考えで同じ改ざんを行っていたとしたら、本当に組織に責任が無かったのかと、問われても仕方がないと思う。

続けると言うことは、単純に考えれば、担当者が前任者の仕方を真似て来たと言うことになる。職場では仕事の「質」を人が変わることで低下させたくはない。だから引き継ぎ者は、後任者にノウハウを伝授する。その際に、OJTとしてしばらく共に仕事をすることで、明文化された知識の他に暗黙の知識も伝播されることになる。

それを考えると、改ざんは伝播された結果、十数年間も行われ続けたのではないだろうか。改ざんが日常になると、当初の後ろめたさが希薄になり、ついには担当者の言葉の通り大した問題ではなくなっていく。

それに後ろめたさがあったのは、十数年前の最初に初めて改ざんを行った担当者にしかなかったようにも思える。最初の改ざんは、もしかすると、通常は出なかった値が一時的に出たとき、行われたかもしれない。

その時の担当者は、恐らく状況を上司に報告したことだろう。その際に考えると、次回の様子を見る、となった可能性が高い。その時、では一時的に出た値をどうするかという話になる。それが改ざんの最初の様な気がする。そして最初の改ざんには上司の承認があったのではないだろうか。

勿論、上記は僕の想像でしかない。一般的な話をすれば、どこかで上司の承認がなければ、人が変わっても改ざんが続けられるとは思えないからだ。
また仮にJEFの言うとおりに、担当者の問題であれば、会社としての教育、人事面などの対応に問題があったのではないだろうか。

そのくらい十数年間という期間には重みがあると僕は思う。

さらに、正確な値を入力することが、新たな業務を引き起こす事になり、しかもその業務が煩雑で面倒な流れを伴うのであれば、改ざんを行いやすい土壌がそこあることになる。その点もどうなのだろう。

もしかすると、会社組織と個人の関係のあり方にも問題があるかもしれない。いずれにせよ多面的に問題を分析しないと、同じ事は再び起きるような気がする。

勿論僕は改ざんを行った担当者を弁護しているわけでは決してない。ただ、担当者だけに責任を持たせ終結する事は、何も解決しないのではと思っているだけなのだ。

僕個人としては、会社の業務は組織の一員としての意識だけでなく、その上位に社会の一員としての意識を持ち接しなければとの教訓をさらに強く思った。まぁ当たり前と言えば当たり前の話であることは間違いないが・・・

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