2005/02/16

I PHOTOGRAPH TO REMEMBER

20050216bc3bc578.JPG「I PHOTOGRAPH TO REMEMBER」という作品がある。僕はこの作品を1991年頃に購入した。媒体はCD-ROMで、作者は写真家のPEDRO MEYER。彼の父親が老いて病気になりそして死んでいく。その様を彼は写真に撮り続け1つの作品にした。写真は全てモノクロで、彼の静かなナレーションがそれに重なる。音楽はピアノソロ。写真とナレーションとのマッチングが素晴らしい。時に烈しく、時には静かに、作品を見る者の心を揺さぶる。

モノクロ写真、ナレーションそしてピアノソロ。それだけの構成でも素晴らしい作品が造れることに、初め観たときはとても驚いたし、逆にだからこそ新鮮な感動を受けたのを記憶している。

実は、昨日溜まったCD-ROMの整理をしていたら、この作品が見つかり、出来ればもう一度見たいと試みた。でも購入したCD-ROMはMAC専用。古いMACを物置から取り出そうかなとも考えたが、かなりの年数ほっておいたので動く事自体難しそうだとあきらめた。

そこでPEDRO MEYERのことをネットで調べたところ、驚いたことに、「I PHOTOGRAPH TO REMEMBER」をネットで公開していた。しかもCD?ROMと内容は全く同じ。時間にして約35分くらいの作品だが、興味があれば観られる事を薦めます。(ただ、少し重いかも)

作品を鑑賞し感動したことを友人に告げたが、周りの友人達はなかなか理解をしてくれなかった。まずは親の死というテーマが全面に出て、そこに生理的な抵抗があったようだった。

ただ、MEYER自身は商業目的にこの作品を造ったのでないことは、観賞すれば一目瞭然に理解できる。うまく言えないが、そこには、人が存在する重み、生きるという事、そして生活の営みが、親への愛情と共に表現されているように思う。だから僕にとってはこの作品は親の「死」を見詰めながら、逆に「生」を描いている様に思えた。

購入した当時、写真に少し興味を持っていた僕は、このタイトルにも惹かれた。写真を撮る1つの意味がそこには確かにある。

音楽担当のManuel Rochaは2001年8月から2002年4月まで日本に滞在していた。彼の日本での印象はネットで観ることが出来る。「OFFBEAT JAPAN」と題したネット展示には、幾つもの音が写真と共に紹介している。また、彼の作品はそこで幾つかダウンロードも出来る。

その中の「semi no koe」を早速聞いた。彼の音は僕を限りなく不安にさせる。しかし、その音は使われている楽器は違うが、紛れもなく「I PHOTOGRAPH TO REMEMBER」でのピアノの旋律に近い様に思えた。

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