「情報過多の社会では、ドライで利己的なくらいでちょうどよく、愛想がよくて奉仕的な人はぼろぼろになってしまうのではないか。そういうなかで、さらに加速度的に情報資本主義が進むと、もう適応不可能になる人たちが続出し、現実適応のために乖離したり、ひきこもったり、多重人格化したりしていくのではないだろうか。」(田口ランディ「情報資本主義について」から引用)▼「情報資本主義」とは「貨幣」の変わりに「情報」を運用することで利潤を産み出すと言うことなのだろうか。でも「利潤」を生み出すほどの「情報」ってどういうものなんだろう。多分、ネット・新聞・雑誌などから得る情報でないのは確かだろう。これらの情報は既に誰かが知っていてそれを入力していることが前提だからだ。入力していなければ僕はそれを得ることが出来ない。
▼つまり、そうやって知ることが出来た情報は、ある意味使い古された情報と言うことが出来る。そう言う情報から利潤を見いだすことが出来るとは思えない。多分、利潤を産み出す情報って、出来るだけ発生元に近い所で入手しなくてはならない様な気がする。もしくは、発生元から最初に教えてもらう必要がある。
▼ゲイツが言っていたことだけど、彼の場合、最新情報は誰かが必ず教えてくれるそうだ。だから自分からリサーチする必要がないと言っていた。そういうのを聞くと、情報資本家とはそういう人達のことを言うのだろうと思う。自らネットを調べて情報を得ること自体、既に情報資本主義の中ではルンペンみたいな者かもしれない。
▼それに、情報富豪は情報を持っていることを人には見せないとも思う。情報に価値があるのは、価値を持っている期間だけとなるし、その価値が一番高いときに利用する事になると思うから、わざわざ自分が情報を持っていると人には間違いなく言わない。そんなことを人に話したら、情報の価値が薄まるというものだ。
▼これも想像だけど、情報富豪にとって情報が氾濫して、そこに埋没してしまう事なんてあり得ないようにも思う。だって彼らは情報によって利潤を得ているのだから、逆にどんな情報が利潤を産むかを知っているだろうし、その情報に関してのみ気にしていればいいわけだから、情報の量はある程度限定されるように思う。
▼「貨幣」は交換、即ちコミュニケーションの道具としてみたときに、その意味は「情報」も同じだと思う。だから、情報富豪は自らコミュニケーションを働きかけないし、必要な情報が何かを知っているから、不必要なコミュニケーションは時間の無駄と考えているような気がする。ランディさんの言うところのライブドアの堀江社長の話は、そう言う意味で情報富豪の資質をきちんと持っているようにも思える。
▼でもここでいう情報って具体的に何だろう。それがよくわからない。利潤を産み出す情報で想像するのは、株価を左右する企業情報、新たなビジネスチャンスを掴むための最新技術動向、新たな製品を考える際の市場動向、官僚・企業の人事情報・・・等々。でもこれらって今までもそうだった様な気がする。それとも、こう考えること自体「情報資本主義」から見ると既に前近代的な輩と言うことになるのだろうか。
▼僕にとっては情報の種類は1つじゃないと思う。そして「情報資本主義」の情報富豪達の情報はその中の1つではないかと思う。コミュニケーションの過程の中で、情報は変質し、全く別の価値を生み出す場合だってあると思う。つまりは、情報富豪達にとっては価値のない情報でも、コミュニケーションの中で無価値が有価値に変わることは間違いなくある。
▼利潤を産み出す情報は、鮮度が保たれている中で交換される情報と、コミュニケーションの中で価値が新たに創造された情報、の2種類あるような気がしている。それであれば、「情報資本主義」に乗り遅れそうな前近代的な人達(つまり僕です)の戦術は自ずから決まってくる。それは、大いにコミュニケーションしよう、と言うことだ。それこそ、近くの酒場でビールでも飲みながら、同席する人達とたわいのない会話を楽しむのだ。その中から新しい発想が浮かぶかもしれない。
▼勿論、この戦術は、情報を得ようと思ったり、新たな価値を創造しようと考えてコミュニケーションしてはいけない。そんなことを考えても情報は逃げていくだけだ。情報は利潤を得るために求めると、逆に得られないものだとも思う。徹底した「情報資本主義」で情報貧民にならないためには、情報を追い求めないことの様な気がする。
▼このパラドックスの中では、徹底すればするほど情報貧民はいなくなるのではないかな。だって情報富豪は自らを富豪とは見せないだろうし、見せなければ誰も富豪と自分との差異を意識しなくてすむし、さらに意識しなければ自分を情報貧民と認識しなくてもすむし。そのうえ、情報を得ようとすれば逃げるのであれば、情報を求めなくなる方向に流れるかもしれない。なにか「情報資本主義」を徹底することで行き着く先は、その社会の自己崩壊のような気がして、そんな社会を本当にライブドアの堀江さんが作ろうとしているのか、少し疑問がわいてきた。
▼まぁ僕が考えたことだから、間違いは沢山あると思うけど・・・鈍いものだから、ランディさんほど気にしていないだけなんです。
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